晴。
プール。
ポール・ポースト『戦争の経済学』読了。山形浩生訳。本書は訳者の言うとおり、戦争を題材に採った、一種の経済学の(初歩的な)教科書だと云えるだろうか。基礎的な経済学を使いながら戦争を分析するもので、いわゆる堅い本であり、扇情的な部分はまったくない。だから、仮に戦争が儲かるものだとしても(じつは必ずしも儲からない)、戦争をすべきだとか、そういうことは一切書いていないのである。目覚しい結論というものもない。戦争を、経済という観点で切り取った、とも云えよう。自分としては、戦争に反対するのに理由はいらないと思うが、そう思ったからと云って、現実に軍隊があり、戦争が行われるのを簡単に止められるわけではない。まず、事実は知らねばならない。
なお、じつは本書を読む前に、「命の値段」というトピックに触れてあるかなと思っていたのだが、簡単な言及以外にはなかった。どちらかと云うと、戦争を大局的に見た本である。しかし、戦争で死ぬのは個々人であるというのも、真実である。かかる問題は、本書の範囲を超えているとしか云えない。いずれにせよ、読んで損はない本である。
- 作者: ポール・ポースト,山形浩生
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なお、ところどころで混入する理系的な比喩は、あまり真面目に取らない方がいいだろう。例えば量子力学において、柄谷の言うような(p.110)、粒子は「質料」ではないし、波動は「運動」などではない。こういうところは、はったりをかましているだけなので、無視しても問題はない。
- 作者: 柄谷行人
- 出版社/メーカー: 岩波書店
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- メディア: 単行本
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