日曜日。晴。
カルコス。図書館。
ドストエフスキー『二重人格』読了。ドッペルゲンガーというのは「二重人格」なのだろうか。だいたい訳者のあとがきによれば、本書の主人公であるゴリャートキン氏の「分身」は、幻覚だとされるのだが、本書の記述に従うかぎり、とてもそうとは思えない。主人公の従僕や同僚、上司など、他人の知覚する「幻覚」など、ありうるのだろうか。それは主人公が狂っているから、本人だけにそう知覚されたように思われているだけなのだろうか。本書はリアリズムの文体で書かれているが、じつはリアリズムではないというのか。でもまあラストは、主人公が恐らく精神病院に強制的に収容されることを暗示しているように読めるから、やはり「幻覚」なのか。心理学的現象として、そういうものなのだろうか。よくわからない。
なお、小説の内容にはまったく触れなかったが、特にまあ何ということもない。本書は、ドストエフスキーの第二作である。処女作が話題を呼んで、作者としても自信をもって世に送り出したものであるが、一般読者からも評論家からも支持されなかった。しかし、ドストエフスキー自身は後々までこだわっていた作品だったようである。ゴーゴリの文体を強く意識したものらしい。今読んでも、思想的な読みはしにくいが、エンターテイメントとして充分読めると思う。
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