ル・サージュ中心の、シューマンのピアノ付き室内楽曲全集

最近ずっとシューマン室内楽を聴いているので、特にピアノ・トリオの選択肢が欲しく、BOXセットを購入する。本日落手(しかしアマゾンだと、在庫があればすぐ来るね)。ピアニストのル・サージュが中心で、シューマン室内楽のうち、ピアノが入っている曲をすべて集めたものである(7枚組)。
 とにかくまず、最近ずっと聴いているピアノ四重奏曲を聴く。この曲はとろけるほど甘く演奏しないといけないのだが、その点はちょっと不満。特に、ヴァイオリン(ニコリッチ)の音が乾いていて、不可ない。第三楽章冒頭のチェロの旋律も、これはもうもっと甘く甘く、朗々と弾いてやらねばならないのだ。ル・サージュのピアノはいい。
 ではあるが、この演奏を聴いていて、「これはピアノ五重奏曲はいいにちがいない」と思っていた。聴いてみたら、予感的中。ピアノ五重奏曲シューマンの中でも古典的傑作であるが、これは正攻法の演奏で高いレヴェルに達している、素晴らしいものだ。たぶん若い人たちによる演奏だと思うのだが、スケールが大きく、明晰なのに気品すらあって、「名演」と呼ぶに相応しい。自分はこの曲の入ったもので、幾つかのディスクをもっているが、その中でも最高のものだと云える。ル・サージュのピアノは四重奏曲とはちがったタッチで、こちらもまたよい。下世話なはなしだが、この演奏だけで元は取れました。
 となると、ヴァイオリン・ソナタ第一番などはどうかと思う。この曲は、クレーメルアルゲリッチのきわめてファンタジックな演奏があるのだが、これもすごくいい。クレーメルアルゲリッチのよりも、歌わせるところでは歌わせているので、多少憂愁が深まったとでも云うべきか。これも気に入る。
 次に、お目当てだったピアノ・トリオを聴く。第一番。昔から傑作の名高い曲だが、自分には結構晦渋で、第一楽章と第三楽章はいまだにきちんとわかったという気がしない。この演奏では、ヴァイオリンがもう少し線の太い方がいいような気がする。しかし、悪いというわけではない。終楽章はわかりやすい、元気な曲。
 疲れたので、最後は小品「三つのロマンス」op.94 を聴く。オーボエのための数少ない室内楽曲のひとつであり、とても愛らしい曲だ。曲の魅力を十全に表現した演奏。
 全体的に、ル・サージュのピアノの水準は高い。ソロでも、それこそシューマンのでも聴いてみたいような気もする。

Schumann Project: Complete Chamber Music With Pian

Schumann Project: Complete Chamber Music With Pian


おまけ。

か、かっこいい… 天才は人を幸せにしますね。