アンジェラ・カーター『血染めの部屋』

曇。
アンジェラ・カーター『血染めの部屋』読了。幻想短篇集。エロティシズムと死の匂いが濃厚にする。ただ、見当はずれかも知れないが、女性の想像力のエロティシズムのような気がする。ナルシスティック。民話を換骨奪胎した作品が多いのは、ちょっとペローを思い出させる。実際、著者はペローの英訳者でもあるそうだ。それから、澁澤龍彦が賞賛していたように、富士川義之の訳文は端正。

血染めの部屋―大人のための幻想童話 (ちくま文庫)

血染めの部屋―大人のための幻想童話 (ちくま文庫)


仕事から帰ってくると、しばらくの間、心をポジティヴな方向にもっていくのがむずかしい。別に嫌なことがあるわけではないのだが、今の時代に生きていくことは、今の時代なりの困難さがあるなあと感じるのだ。別にどの時代だって、生きるということにさほどの違いがあるわけではないだろうが、やはり違うこともあるのである。今の時代、ふつうに接していれば、皆いい人ばかりだと思う。疲れるのは、表面的なことにではない。何かこう、多くの人の、心の奥の方がほがらかでないのだ。これが現代日本の特徴だと思う。これに気がつくと、心のエネルギーが吸い取られていくような感じがする。そこが疲れる。そこらあたりを、何とかしたいのだが。とりあえず、ポジティヴに行きたい。という願いである。