雨のち曇。プールとアピタ。
浅川芳裕と飯田泰之の共著『農業で稼ぐ! 経済学』読了。農業の経済学的なキモを、ここまでしっかり分析・把握した本というのは、これまでどれくらいあったのだろうか。飯田氏のような優れた経済学者が、農業について語ってくれたのは大きいと思う。議論のベースになっているのが、農業の現場をよく知っている浅川氏の知見だというのがまた有難い。
本書の基調になっている考えは、農業はビジネスであるべきだ、それで悪いことは何もない、ということである*1。いや、補助金漬けになっている、やる気のない、うまい汁だけ吸おうという農家には、きびしい宣告になるかも知れないが。このような農家が大票田となり、政治家と官僚と一緒に、農業を腐らせてきたのである。本書は、そのような日本農業の「敵」の持ち出してくる詭弁を、ひとつひとつ丁寧に潰していっているのだ。農業を真剣に考える人にとって、本書はわかりやすく、とても(実践的にも)役に立つ本だと思う。日本農業の将来は、決して暗いものではない。
- 作者: 浅川芳裕,飯田泰之
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日本は世界5位の農業大国 大嘘だらけの食料自給率 (講談社+α新書)
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*1:よくある意見として、「食は生きることの根幹にあり、単にビジネスとして考えてしまっていいのだろうか」というものがある。しかし、食を大切に考えることと、農業をビジネスとして考えることは、矛盾するものではなく、むしろ親和性がある。本書では、これについてもきちんと考察してある。日本の食を守るということは、日本の農業を滅ぼしてはいけないということだ。金ももっている上にやる気のない、そんな農家に無意味に税金を投入することは、決して日本農業のためになることではない。そこをはっきりさせておきたい。稲作副業農家の平均所得は、700万円以上である。自分の住んでいる近所の農家のほとんども、こうした「日曜」兼業農家であるが、下世話な話だけれども、皆さんたいへんに立派な家に住んでおられる。