ヨラム・バウマン『この世で一番おもしろいマクロ経済学』/飯田泰之、雨宮処凛『脱貧困の経済学』

休日。晴のち曇。
音楽を聴く。■ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第六番、第七番(スターン)。■シューマン:アンダンテと変奏op.46、カノン形式の六つの練習曲(二台のピノのためのドビュッシー編曲版)op.56、東洋の絵op.66(ルサージュ他)。op.56のドビュッシー編曲版がおもしろい。いい意味で甘く、感傷的。

ヨラム・バウマン『この世で一番おもしろいマクロ経済学』読了。ミクロ版に続く第二弾。マクロ経済学を知らない人が最初に読む本として想定されていて、中身はかなり高度なことまで、とてもわかりやすく書いてある。一般市民にいま必要な経済学の知識はマクロ的なもので、本書程度の知識が市民の常識となることは、不可能ではないし、必要なことでもある。いまの日本の経済政策について、どうして消費増税がいけないのかとか、デフレや円高の放置がいけないかとかを知るは、本書程度の知識がどうしても必要だ。ミクロ編と併せ読まれたいと思う。
 などと偉そうな書き方をしたが、自分もまだまだ勉強不足だ。さっさとマンキューのマクロでも読まねばなるまいな。

この世で一番おもしろいマクロ経済学――みんながもっと豊かになれるかもしれない16講

この世で一番おもしろいマクロ経済学――みんながもっと豊かになれるかもしれない16講

飯田泰之雨宮処凛の対談集『脱貧困の経済学』読了。原本は二〇〇九年の出版だが、日本の経済の「終っている」ぶりも政府・日銀の無策も、ちっとも変っていない。変ったのは3・11が来たくらいで、その情けなさに気分が暗くなる。詳しいことは書かないが、飯田泰之さんは若いが優秀な方なので、本書の中身は信用していい。読んでいて特にガックリきているところを書いておけば、一つ、日本の財政がここまでひどくなった理由は、「お金持ちを減税したから」(p.95)。累進課税の緩和の他、あまり知られていないことだが、金持ちには様々な減税措置がある。もう一つ。日本にはきちんとした貧困調査がないということ(p.242)。政府や富裕層は事実を知りたくないのだろうが、きちんとした調査もせずに何の対策が立てられるというのか。馬鹿にしている。
脱貧困の経済学 (ちくま文庫)

脱貧困の経済学 (ちくま文庫)