朝起きると、宿のまわりは鶯の声で満ちていた。なんという多重コーラス。晴天。
朝一番、宿の車で平戸城まで送ってもらう。城は他にだれもいない。職員も道の掃き掃除などで、どうぞ御勝手にとのこと。天守からの眺望がいい。海峡や街並みを上から撮る。歩くと猫猫。
幸橋から、町の高台の細い道を歩く。ところどころに史跡で、なんとなくカメラを向けたりしながら散歩。猫猫。すぐ近くでのた打ち回ったり、謎だ。教会があったり。二時間くらい、平戸の町を歩いたか。
桟橋からタクシーで、松浦鉄道たびら平戸口駅へ。日本最西端の駅。証明書を手に入れたり。あとは延々と帰るだけだ。十一時前の列車で、佐世保へ。時間があったので、駅前のしょぼい古本屋へ寄る。雑書がほとんど(文庫も「ブ」でも買い取ってもらえないようなものが、しかもヤケまくり)という中で、東洋文庫がある。なんと中に『甲子夜話』全巻があるではないか。しかし値がついていない。そのうち店主が寄ってきて、訥々と原発事故の話などし出す。帰りの列車の中の一冊というつもりで店に入ったので、列車の時間もあるし、ちょっと困ってきた。ふと見ると、同じ東洋文庫の一冊で、シリーズ劈頭の『楼蘭』があったので、定価(なんと350円)にしようか迷う店主(これも値がついていなかったのだ)に500円玉を渡して、急いで店を出る。で、車内で食そうと思っていた佐世保バーガーの持ち帰りが遅い! 5分と言ったら5分でやれよとイライラしつつ、なんとか分捕って乗車。はー。特急みどりで博多へ。途中で平出隆『ベースボールの詩学』読了。博多からの新幹線車中で『楼蘭』読了。
帰ってアマゾンのマーケットプレイスを見たら、『楼蘭』は170円だった。なお、この本は蔵書印があり、女性の名前と、購入日か読了日か、日付が書き入れてあったが、それは自分の生まれる前のものだった。
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- 作者: A・ヘルマン,松田寿男
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