高階秀爾『日本美術を見る眼』/『解析力学と微分形式』

晴。夜寒し。
高階秀爾『増補 日本美術を見る眼』読了。式年遷宮する伊勢神宮の神殿は、果して古代建築なのか、それとも現代建築なのか、という問題提起はおもしろい。西洋的な発想なら古代建築だとはいえまいが、最近建て替えられたといっても、日本人には現代建築とは思えないだろう。著者の考えでは、「もの」を重視する西洋芸術では、コピーされたものは当然オリジナルではないのだが、「かた」を重視する日本では、造り替えられる社殿には連続性が感じられるのだという。
 また、日本美術の「デザイン性」というのも、西洋美術と比較した場合、我々の痛感するところだ。これは既に常識になった考え方だと思う。デザイン性が芸術性と重なり合っているのだ。それから、日本の美というのは、白洲正子も言っているとおり、「総合芸術」なのである。美が日常性と一体化しているのが、本来の姿なのである。そうだとすると、西洋化した今の日本の現代アートのほとんどは、既に日本の美から遠くなってしまっているが、これはまあ仕方のないことなのかも知れない。

増補 日本美術を見る眼 東と西の出会い (岩波現代文庫)

増補 日本美術を見る眼 東と西の出会い (岩波現代文庫)

深谷賢治『解析力学微分形式』にざっと目を通す。微分形式というのは美しい。もう少しじっくり勉強してみたい。
解析力学と微分形式 (現代数学への入門)

解析力学と微分形式 (現代数学への入門)