晴。夜寒し。
高階秀爾『増補 日本美術を見る眼』読了。式年遷宮する伊勢神宮の神殿は、果して古代建築なのか、それとも現代建築なのか、という問題提起はおもしろい。西洋的な発想なら古代建築だとはいえまいが、最近建て替えられたといっても、日本人には現代建築とは思えないだろう。著者の考えでは、「もの」を重視する西洋芸術では、コピーされたものは当然オリジナルではないのだが、「かた」を重視する日本では、造り替えられる社殿には連続性が感じられるのだという。
また、日本美術の「デザイン性」というのも、西洋美術と比較した場合、我々の痛感するところだ。これは既に常識になった考え方だと思う。デザイン性が芸術性と重なり合っているのだ。それから、日本の美というのは、白洲正子も言っているとおり、「総合芸術」なのである。美が日常性と一体化しているのが、本来の姿なのである。そうだとすると、西洋化した今の日本の現代アートのほとんどは、既に日本の美から遠くなってしまっているが、これはまあ仕方のないことなのかも知れない。
- 作者: 高階秀爾
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2009/12/16
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 2回
- この商品を含むブログ (9件) を見る
- 作者: 深谷賢治
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2004/04/06
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 9回
- この商品を含むブログ (8件) を見る