曇。夜雨。
ポリーニはもう三十年以上もかけて、ゆっくりとベートーヴェンのピアノソナタを録音し続けているが、若い頃に録音した後期ソナタ集は、今聴いても鮮烈である。演奏はモダニズムの極致であり、大理石の彫像を思わせるような造形美に加え、完璧な音楽的教養によってコントロールされた、一つの極北のベートーヴェンとなっている。これがop.109のような、一種叙情的な曲と出逢ったときの結果といったら! これまで何度聴いてきたか、わからないほどだ。これは単純にアポロン的とは云えまい、ディオニュソス的でもあろう、ニーチェのいうギリシア人の特性というべきか、そこが凄いところだ。今のポリーニもいいが、思えば遥けきも来たものである。
- アーティスト: ポリーニ(マウリツィオ),ベートーヴェン
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
- 発売日: 2001/10/24
- メディア: CD
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