統合失調症と鬱

曇。
 
広大な空虚。至るところに中心がある、か? いや、ちがう、それは常にそうで、遠くに辛うじて見えている未知を、追求すべき。
 
統合失調症(アンテ・フェストゥム)。イマージュが統合しきれていない。統合する力が暴走している(「主体」は動かされる)。中心は常に移動する。イマージュは分散的。外部からリアル(あるいは「力」)が侵入しがち。イマージュ解体的。理知的タイプ?
◯鬱(ポスト・フェストゥム)。固定した中心が存在し、(いちおう)統合はされていて、イマージュが消化しきれておらず、暴走している(「主体」は動けない)。イマージュは集中的。内的な想像力が生産的でありがち。イマージュ構築的。感性的タイプ?
 
いま日本の知識人、(文系)学者の無意識にやろうとしているのは、日本人の心にファロセントリスムファロス中心主義)を導入することである。これは、西洋文明への反省から、西洋のポストモダニズム思想が企てた試みの、まったく正反対の方向を向いている、ということだ。もともとあまり何も構築されていなかった、心の原初的状態に比較的近かった平原を切り開いて、その中心に巨大なファルスの像を建立しようという、まあ、(わたしにいわせれば)反動的といってもいい営為である。それによって、日本人の心に記号によって構築される「西洋的自我」を導入し、日本人を「文明化」しようとしている。だから、わたしのような「反動的」人間が、かつて平原だったところをまた平原に戻そうという、ほとんどむちゃなことをやろうとする羽目になる。そして、これほど「反動的」に見えることはない。いや、たぶん、わたしが何をやろうとしているか、理解されないだろうけれど。
 

 
昼食は田舎のめし。桜えびと椎茸の炊き込みご飯、など。
 
昼飯を食べながら Eテレで「すくすく子育て」とかいう番組を少しだけ観ていたのだが、興味深かった。「夢中であそぼう!」という回で、「非認知能力」とやらを育てよう、みたいな内容だった。番組紹介を引用する。
『子どもが「夢中であそぶ体験」は、集中力や想像力、コミュニケーション力など、将来、子どもが人生を豊かに生きていくために必要な能力(非認知能力)を育むとされ、注目されている。「どうすれば夢中であそぶのか?」「親の見守り方や心がまえは?」など、我が家の子育てで参考にしたい、夢中であそぶためのヒントを、専門家、子育て真っ最中のパパママと一緒に考える。』
 番組を観ていると、幼稚園児が皆んなで外出して、水たまりに靴ごとジャブジャブ入ったり、農家のおじさんから採れたてのキュウリをもらってさわったり、ツバメが巣をかけているのを見たり、という具合の、つまりは「自然と意図的に触れ合おう」と要約できるもので、それを大学の先生が解説していた。なんか、わたしなどが成長していく過程で、悪いこともして叱られたりしながら、無意識にふつうにやってきたことを、学問化して、意図的に実践しようというもので、全面的な「世界の人工化」の中、何をやってんだかなーってな感じだった、わたしには。
 しかしそれも目的論的に、「たいせつな『非認知能力』を育てる」ためなんだよね。ま、しょうがないんだろう、好きにすればいいんだけれど。いまはこういうことまで、学問化・管理化されてるんだなーって。
 
 
【第1回京都こころ会議シンポジウム】④講演1「こころの構造と歴史」(中沢新一) - YouTube
 

 
珈琲工房ひぐち北一色店。終始ゲホゲホと咳をしているおっさんがいて、感染、大丈夫かよと帰宅してから嗽(うがい)をした。
コーヒーチケットを買う。
亀山郁夫さんの『終末と革命のロシア・ルネサンス』(元本1993、文庫版2009)を読み始める。序論と、第一章アンドレイ・ベールイ、第二章アレクサンドル・ブローク、第三章ミハイル・ヴルーベリを読む。ほとんど何も知らず、辛うじてアレクサンドル・ブロークの名を 2023.10.6 に知ったくらい。これはショスタコーヴィチの「アレクサンドル・ブロークの詩による七つの歌曲」という(有名らしい)曲を聴いたことによる。亀山郁夫さんは深みのある文体をもつ実力者で、読むと勉強になるし、また読んでいておもしろい。まあ、わたしの能力を超えているわけだが。
 
帰りに肉屋。広告の品の、安い牛切り落としを買ったのだが、もっと高いのにすればよかったかな。
 

 
夜。
上にリンクしておいた中沢さんの講演(2015)、一時間半近くあるが、何とか聴き終えた。わたしのように中沢さんの思考に慣れている者でも、これはむずかしかったねー。特に(現代数学の)ホモロジーの話のあたりから、めっちゃむずかしくなった。しかし、ここで中沢さんのいう「ゼロの空間」が、物質世界から心の領域まで、イソモルフィックにすべてを貫いており、ここに物質と心を統一的に(対称性をもたせて)記述する「科学」の可能性がある、という考えは、まだ著作で本格的に展開されていないのではないか。中沢さん、長生きして下さいね。
 
この講演では名前は出てなかったと思うが、ロシアの天才的言語学者、ロマーン・ヤコブソンはどうしても読まないといけないよね。レヴィ=ストロースにも関係しているしな。
 
 
新妹魔王の契約者』(2015)第12話(最終話)まで観る。ちょっと H な B級アニメでその設定のアホらしさに随所で笑ってしまうが、最後はシリアス展開が盛り上がって充分おもしろかった。配信で観たので白い光やカットが残念(それでもまあまあ H だった笑)。2期や OVA もあるくらいで、なかなか支持を得ているんだな。
 しかし、わたしのアニメ作品評価は随分とアマいと思うね、特に好みのタイプの下らない作品は、一般に酷評されていても大抵楽しめてしまう。ま、バカで幼稚、ってことなんだろうが。