リービ英雄『日本語の勝利/アイデンティティーズ』

雨。
 
老父を眼の検査のために、岐阜駅前まで送っていく。
 
坂本龍一『Heartbeat』(1991)を聴く。同時代的に、どれくらい聴いたかわからないアルバム。いま聴いても至極カッコいいのは、坂本の楽曲が古びないのか、それともこちらに進歩がないのか。坂本龍一はずっと創造性が衰えなくて、消費され尽くしてしまうということもなかった。アルバムを聴いていると、その時代を思い出す感じ。わたしのように時代をあまり追いかけない人間でも、そう思う。ただ、晩年になると開かれていくところがあって、解体の方向へ進んでいった。もっとも、それは時代がそうであった気もする。

Heartbeat

Heartbeat

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昼。激しく雨が降ったり、止んだり。
老母の本を返したり予約本を受け取ったりで、図書館。
 
ミスタードーナツ イオンモール各務原ショップ。シュガーレイズド+ブレンドコーヒー429円。
リービ英雄さんの『日本語の勝利/アイデンティティーズ』の続きを読む。マジメ、あまりにマジメだが、しかし、マジメで柔軟で、まったく結構ではないかと思わされる。コーヒーを何杯もおかわりして読み続けるだけのものがある。最近の硬直化した中身のない日本語たちの氾濫にちょっと疲れているので、本書を読んでいるとさわやかな気分になるほどだ。リービさんの、「境界性」もむしろ心地よい、別に純粋な日本人(?)ではあるが、わたしだって、ほとんど誰もいない「境界」に立っているのだから(という自己認識だ、わたしは)。柔軟なマジメを、もっと、もっとください、って感じがする。
 まあしかし、リービさんの日本は、日本=東京だな、っていうところはある。わたしの現実とは、だいぶちがうな。田舎のイオンモール(=東京の植民地)のフードコートで本書を読んでいると、何だか不思議な気持ちになってくる。地方在住ということを気にしすぎると思われるかも知れないが、いや、地方にあって批評性をもつと、それは不可避の感覚だ。そしてそのまま、歴史の闇の中に消えてゆくのだな、それでよいと知る。
 
何もしないうちに、もう今年も半分が過ぎた。一生、あっという間だな。
 
 
夜。
リービ英雄『日本語の勝利/アイデンティティーズ』読了。 
NML で音楽を聴く。■ベートーヴェン交響曲第三番 op.55 「英雄」で、指揮はエリアフ・インバル東京都交響楽団NML)。昨日のインバル+都響マーラーがよかったので、他にも聴きたくなってエロイカ交響曲を選んでみた。重厚なベートーヴェンで、満足。2009年のライブ録音である。ベートーヴェンの序曲「コリオラン」 op.62 で、指揮はエリアフ・インバル東京都交響楽団NML)。