「その着せ替え人形は恋をする」を読む

雨。

NML で音楽を聴く。■バッハのイギリス組曲第四番 BWV809 で、ピアノはスヴャトスラフ・リヒテルNML)。リヒテル晩年の、一見そっけないような演奏。といっても、リヒテルはもともとイン・テンポの人だ。ロマンティックな気質をもっていながら、恣意的にテンポを動かすことをまずしない。心は我々凡人の遥か彼方にあって、しかしそれが何となく感じられるのは、不思議なものである。グレン・グールドリヒテルを「最強のコミュニケーター」と呼んだが、わかるようでもあり、謎のような言葉にも思える。

■バッハの無伴奏チェロ組曲第四番 BWV1010 で、バロック・チェロはダーヴィト・シュトロンベルク(NML)。バロック・チェロは運動性が低くて弾くのが大変そうだな。しかしそれゆえにか、抵抗感がよい結果に結びついている。■シューベルトアルペジオーネ・ソナタ D821 で、チェロはピーター・ウィスペルウェイフォルテピアノはパオロ・ジャコメッティNML)。現代最高のチェリストのひとりによるアルペジオーネ・ソナタだから、悪い筈がない。たぶんオリジナル楽器なのだろうが(わたしの耳でははっきりしたことはいえない)、技術的に楽々と弾かれている。気持ちもよく入っている。しかし、わたしにとってのこの曲の最高の聴かせどころは、終楽章の一瞬のピアノパートなんだよね。チェロはピチカート奏法で付けているだけのあの部分である。そこ、このフォルテピアノはかなりよかった。全体として、ヒョーロンカ的にいうなら名演といってもいいのだろう。この曲は、むずかしいよね。ちなみにわたしが過去の演奏を選ぶなら、ロストロポーヴィチのチェロにベンジャミン・ブリテンがピアノを受け持った録音を挙げたいと思う。件の部分では、ブリテンのピアノのあまりの美しさに、そのあとロストロポーヴィチのチェロが入りそこなっているのがまざまざと聴ける。 
昼から珈琲工房ひぐち北一色店。『コレクション瀧口修造2』「画家の沈黙の部分」を読み終える。

『その着せ替え人形は恋をする』第8巻まで読む。わー、神マンガだった! 陰キャ主人公の五条くん(家業で雛人形作りをしている)が、同級生一の美形ギャルの海夢(まりん)にコスプレ衣装を作っているうちに仲良くなっちゃうってな話なんだけれど、超ポジティブな展開で、じつに気持ちがいい。まあラブコメなんだけれど、ドロドロした嫉妬とかまったくなし。まりんのコスプレ愛がすごくて、マジメな五条くんと盛り上がっているのが二人ともかわいすぎる。しかし、作者の名前が男性っぽいのだが、ギャルの発想がリアルすぎて(ってオレは知らんが)、とてもそうとは思えない。純和風職人男子とギャルの組み合わせ、最高かよ。まりんはウブな五条くんを散々エロく挑発したりするのだが(なにせコスプレ衣装云々なので、その機会はいくらでもある笑)、中身は歳相応の女子高生で、少しずつ五条くんが心を開いてくれるのにいちいちドキドキしてるのもとってもいい。いやー、もう最高のフェアリーテイルでしょう。負けました。レンタルしてきたんだけど、買ってもいいくらい。

しかし、自分が綺麗になるのに全力を尽くしてくれて、しかもその結果の姿を綺麗だといってくれるとか、そんな都合のいい陰キャ男子はおりません笑。そこが、作者が男性と思えないもうひとつの理由でもある。フェアリーテイルといったけれど、フェアリーはじつは五条くんなんだよね。

リピートしているうちに我慢できず、Kindle で第9巻(最新刊)を買う笑。