鷲田清一『京都の平熱』/ギレリスの弾くベートーヴェン

晴。
僕は何時間でも眠れるのだが、十二時間近く眠ったのはさすがにマズいと思う。こんなだと、一生があっという間に過ぎそう。ついでに悪夢(?)も見たので世話はない。
鷲田清一『京都の平熱』読了。副題「哲学者の都市案内」。京都で生まれ育った哲学者が、京都を語る本。自分は東京在住者が東京を語る文章を概して好かないが、本書にも同じような感じを抱いた。田舎者には関係のない世界である。


音楽を聴く。■ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第二十七番(バックハウス)。この小さなソナタを、バックハウスは愛らしく弾いている。もっとスタイリッシュな演奏でもいいと思うが、バックハウスが悪かろう筈もない。バックハウスを聴いていると、何となく内藤湖南の散文が思い出されるのだが。逆ですかね。■ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第二十七番(ギレリス)。ギレリスは久しぶりに聴いたが、やはりいいなあ。明晰さと情感の豊かさが同居している。■ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第二十八番、第三十番(ギレリス)。続けてギレリスを聴く。本当に素晴らしい。「巨匠」という言葉に真に相応しいピアニストだ。特に第三十番は、自分はこの比較的短い曲が、西洋クラシック音楽の行き着いた果て、その到達点の一つだと思っているのだが、それを実感させる名演だ。今では、こうした「巨匠」と呼ぶに値するピアニストは、世界を探してももう一人もいないのではないか。
ベートーヴェン : ピアノ・ソナタ 第27・28・30・31番

ベートーヴェン : ピアノ・ソナタ 第27・28・30・31番

ギレリスの遺したベートーヴェンの全録音が聴きたくなったので、1-click注文を食らわせてやりました。(AM1:33)