岩崎秀雄『<生命>とは何だろうか』

曇。
音楽を聴く。■シューマン交響曲第一番「春」(ミュンシュ)。軽みが利いていて、しかもメリハリのある演奏。これはいい。散漫になりがちなシューマン交響曲を、上手くまとめている。

岩崎秀雄『<生命>とは何だろうか』読了。副題「表現する生物学、思考する芸術」。著者のやりたいことは、「生命」という概念を鍵にして、生物学とアートを結び付けようという試みのように思われた。本書の大部分は、しかし人工的に(試験管の中でin vitro)細胞を造るという研究の紹介である。その方法には大きく分けて二通りあり、それぞれトップ・ダウン、ボトム・アップの方法と呼ばれている。それについては、本書を参照してほしい。本書でもちろん生物学の進展は感じたが、それほど大きなブレイク・スルーが起こってしまったという印象はない。また、生物学の知見を取り入れたアートというのも、本書を読む限りでは、まだ思いつき以上のものではないという感じである。もっと色々繋がってくれば、面白そうなものになるような気もするが。とにかく、「生命とは何か」という疑問は確かに刺激的ではあるが、古今東西、様々な思索がなされてきた疑問でもある。問題は非常に大きい、大きすぎるくらいなのである。

〈生命〉とは何だろうか――表現する生物学、思考する芸術 (講談社現代新書)

〈生命〉とは何だろうか――表現する生物学、思考する芸術 (講談社現代新書)


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