晴。
ジェイン・ジェイコブズ『発展する地域 衰退する地域』読了。都市の発展と衰弱を考察している。国家でなく、都市というのが特徴だ。重要なキーワードに、「輸入置換」というのがあるが、文庫解説の片山善博・元鳥取県知事は、これを「県経済の自立」とか「地産地消」などと、読み替えている。要するに、都市の発展のためには、その都市自身ができるだけ自立した経済的基盤を持たねばならない、とでも云えるだろうか。例えば、大企業の工場を、県外から移設してくるだけでは、県の経済は発展することがむずかしい、ということでもある。また、著者の議論には、衰退してきた地域に補助金などをぶち込んでも、それは衰退を早めるにすぎない、というものもある。これは、よく吟味せねばならぬ考え方だろう。
著者はジャーナリズム畑の人らしく、アカデミシャンでないそうである。処女作の『アメリカ大都市の死と生』は、都市計画の思想に大きなインパクトを与えたという。いずれにせよ、本書の議論は大変に精緻で、歯応えのある本だ。著者の他著も読んでみたくなった。
発展する地域 衰退する地域: 地域が自立するための経済学 (ちくま学芸文庫)
- 作者: ジェインジェイコブズ,Jane Jacobs,中村達也
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
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- 作者: 遠山啓
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山形浩生、なかなかいい顔してる(参照)。ちょっと見直した(って何様)。