井上達夫『現代の貧困』

曇。
音楽を聴く。■モーツァルト:ピアノ・ソナタ第十番 K.330(クリストフ・エッシェンバッハ参照)。

ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第十四番 op.27-2 で、ピアノはクラウディオ・アラウ

mathnb さんの問題は全然わかりませんね。僕にはまったく「自明」ではありません。解読時間は10分くらいではないですか。「あっちゅう間に」解決もできません。アホやね。
井上達夫『現代の貧困』読了。副題「リベラリズムの日本社会論」。先日読んだ著者の『自由の秩序』が大変におもしろかったので、本書も読んでみた。まず本書の題の「貧困」であるが、経済的貧困というよりは、むしろ「精神の貧困」的な意味に近い。これからわかるように、著者は原理的な思考をする法哲学者であるが、議論の根底としてとても「生ぐさい」対象を扱う哲学者で、干からびた議論をするどうでもよいアカデミストであるとは自分には思えないのである。そこらあたりが、自分のようなあまり頭のよくないふにゃふにゃ者にも、何かがビンビン伝わってくる所以(?)なのだ。ここで自分の「頭がよくない」というのはどうでもいい謙遜などではなく、著者はふつうの意味で大変頭がよいので、正直言って自分にはむずかしすぎるのがただ難点なのである。著者は例えば「合意」ということすら疑ってしまう(本書第三章)くらい飛んでもない「原理的思考者」なのであるが、議論がむずかしくっていけない。けれども、このむずかしさは議論の必要とするものであり、避けることはできない性質のものだ。著者は本書で「天皇制」「会社主義」「五十五年体制」の三者にケンカを売って(?)おり、その徹底的な論理的整合性の追求を堪能(?)されたい。これは、我々愚民の思考の鑢とすべき書物ではないか。

現代の貧困――リベラリズムの日本社会論 (岩波現代文庫)

現代の貧困――リベラリズムの日本社会論 (岩波現代文庫)