秋田・青森家族旅行(第二日)

五能線から見る岩木山

今日も暑い。秋田駅へ行って荷物を預けたあと、久保田城(秋田城)跡まで歩く。秋田はなかなかの都会だ。しかし今日もカンカン照り。堀一面に咲いている蓮の花がきれい。城跡まで登る。特に何もないが。ここは佐竹氏の居城であったところで、資料館があるので入る。まだ午前中なのに、冷房がありがたい。
 近くに秋田県立美術館があるので、行ってみる。安藤忠雄設計の新しい建物が出来たばかりだというので、10:00の開館までマンゴー・ジュースを飲みながら待つ。コンクリート打ちっ放しの、いかにも安藤忠雄らしいもの。で、入館だと思ったら、まだ絵は搬入していないのだって。安藤設計の建物だけ見て下さいというのだ。アホくさ。時間がないので止め、旧館の方へ急ぐ。ここのメインである、平野政吉コレクションというのは、藤田嗣治関係のものが基本である。目玉の藤田の壁画「秋田の行事」は、しかし土俗的で、洗練された藤田の画風からすると泥臭く、あまり藤田らしくはなかった。藤田は福岡で代表作を大量に観たからなあ。しかし、藤田関連(藤田自身が収集したものなど)の絵画は、なかなかよかった。
 駅弁を買ったあと、11:02秋田駅から「リゾートしらかみ」という特別列車に乗る。秋田から東能代経由で、JR五能線を延々弘前まで、五時間かけて乗ろうというのだ。定員四人の個室で、海側の眺望が利くようになっているわけである。わくわくする。天気は最高。東能代で記念撮影をしたり、能代ではイベント(バスケの能代工業で有名なところので、駅にゴールがあって、ボールを入れると記念品がもらえるとか)があったりと、いろいろやってくれる。
 こういう列車遊びには、天気は最高。山側は一面の実りかけの稲田であり(米どころ秋田だ)、海岸線沿いに走る列車から見ると、一面の青い空と海が続く。なんともすばらしい。
 途中から、むさくるしいヒゲの、おとなしそうな学生が入ってきた。でっかいリュックをもっている。話しかけてもあまり反応はない。まあ、こちらは普通にやる。そんなではあるが、景色は最高。車窓風景をカメラに収めている内、彼は彼でデッキへ行って撮影をしているようだった。そりゃ土曜日だから、席はいっぱいになる筈だよね。他の個室もそうだった。
 絶景ポイントでは列車の速度を落したりもしながら、何時間も景色を堪能。千畳敷駅では十五分停車して、千畳敷海岸を散策する。確かに奇景ではあった。ここも海と空が青い。
 その他、車内では津軽三味線の実演(スピーカーで中継してくれた)があったり、語りがあったりと、最後までいろいろやりつつ、計五時間のローカル線の旅は終った。これが今回の旅行のメインだろう。じつによかった。
 15:51弘前着。バスで弘前城へ。入場時間の終りが迫っていて、急ぐ。天守風の櫓が一応は江戸時代(末期)のもの。本当の天守閣はない。一番古いのは、十七世紀初め建造の大手門らしい。ここも桜の名所で、テレビでは毎年中継する。タクシーで再び駅へ。
 駅から送迎バスで、南田温泉ホテルアップルランドへ。敷地内の、バカでかい変な観音のような建造物は何だ。嫌な予感。明日の予定などをフロントで確かめる。女の子の対応は気持ちがよかった。入浴。昨日ほどではないが、ここも肌がつるつるの湯で、なかなかよい。
 な・の・だ・が。夕食。食事処でというので、個室なのかなあと思っていくと、何と大会場。また嫌な予感。だいたいエアコンが効いていなくて暑い。そんなのはいいが、こんなアッケラカンとしたところで給仕してくれるの? と思ったら、何とバイキングではないか。え、地元料理を含む、会席料理って話だったのですけれど。もうガッカリしたのだが、これは序の口。料理の種類が異常に少ない。地元料理って書いてあるのだけれど、何が地元料理? それだけではなし。すべてが最悪にマズイ!! これは誇張でない。色の変ったような刺身。何とか牛のハンバーグとあるが、胸が悪くなってくるようなもの。業務用の方がマシであろうデミグラス・ソース。スーパーで売っているよりマズいウインナー。安い弁当に入っているような焼きそば。ウチで造るよりはるかにマズい炊き込みご飯。リンゴ入のグラタン。酒の給仕はテーブルにこぼすし、すぐに拭きに来ると言ってなかなか来ない。最初のビール(メーカー品だが、これが一番マシだった)もなかなか来ない。こちらをナメているのか。客は多く、たくさんの人が来ていたのだが、食べるものがなくて、料理の乗ったテーブルの周りを、皆ぐるぐる廻っていた。もう、形容のしようがないが、みんな話のタネのためにでも、一度行ってみてください。これまで旅行してきて、いちばん驚きました。
 これ、もう少し書いておくと、もちろんこのホテルはひどいのだが、いけないのはむしろJTBである。こんなホテルがあったって構いません。でも、JTBのサイトで、ここは八十五点の高評価でした。自分はこれはたくさんのサクラがいて評価をつりあげているのだと勝手に想像しているが、とにかくJTBの信用を下げて已まない酷いものである。JTBの「セレクト」にはこちらもそれなりの出費をしているのだから、これはいけない。以前にもこういうことはあったのだが、これほど言語道断ではなかった。ちなみに、今回のJTBは切符の手配も間違いがあった。旅行先でJRが気づき、幸いさほど重大なものではなかった(乗車券の適用期間がちがっていたのだが、JR側が無料で作りなおしてくれた)のでよかったが、イオン各務原店のJTBよ、切符の手配は前回も間違えたね。(指定席券の取り忘れで、そのときはこちらが、切符をもらった日に気づいたのだった。)めちゃくちゃに忙しいなら、人数を増やしたらどうか。これも信用に関わることである。
 いやあ、とんでもないことだった。五能線はよかったのに、一日の締めがこれでは悲しい。