吉本隆明死去/山尾悠子『ラピスラズリ』

曇。

吉本隆明さん死去。享年八十七。残念です。
僕は吉本さんに深甚な影響を受けたというわけではないのだけれど、それでも数えてみると、二十年間に(対談本なども含め)六十冊以上を読んでいたようで、随分読んだものだと思う。僕などが吉本さんについて正確に語ることはできないが、一本筋の通ったところと、きわめて柔軟なところが絶妙に組み合わさった人だという印象だった。どちらかと云えば、努力型というよりは、勤勉ではあったけれど、天才肌の人だったと思う。著書を読むのはいつも楽しかった(という読み方だったから、よくなかったのかもしれないが)。人の評価でも、誰からも悪口を言われる高橋源一郎さんを高く評価していたのは、とりわけ印象に残る。源一郎さんは、勇気づけられていたのではないか。批判も含め、言いたいことははっきりという人でもあった。こんなことを書いていると切りがない。ご冥福をお祈りします。


山尾悠子ラピスラズリ』読了。格調高い文章で書かれた、幻想短篇集。著者は寡作家のようだ。千野帽子氏の解説に感嘆する。何だか最近、すごい文庫解説に出会っているが、これは稀なことだ。

ラピスラズリ (ちくま文庫)

ラピスラズリ (ちくま文庫)