『ロラン・バルト モード論集』/フォン・ノイマン『計算機と脳』

曇。
ロラン・バルト モード論集』読了。山田登世子訳。とっくの昔に流行が去ってしまった「記号論」であるが、やはりバルトは大変に面白い。才気煥発だ。

J・フォン・ノイマン『計算機と脳』読了。新訳。第一部の「計算機」では、いわゆる「ノイマン型コンピュータ」の産みの親が、その構成原理について述べている。現在では当り前の内容だが、基本的な原理は完全に揃っている。ただ、用語は現在とではかなり違うので、解説を参考にして読むとよいだろう。第二部の「脳」は、脳科学が爆発的に発展した今では時代遅れになっていそうだが、必ずしもそうではない。計算機と脳の比較など、凡人には不可能な切り口で語っている。本書は、「天才」の発想法に触れるというのが、一番の読み方だと思う。なお、野崎昭弘による解説が、本文を解きほぐして見事だ。
 それにしても、「信頼性と論理深度と算術的深度について先に述べた事柄は、中枢神経系の言語系がどのようなものであれ、私たちが意識的にはっきりと数学と考えているものとは、必ずや大幅に異なるだろうことを裏付けている」(p.115)という結語で、いったいノイマンは何を考えていたのだろうか。

計算機と脳 (ちくま学芸文庫)

計算機と脳 (ちくま学芸文庫)


田中秀臣氏(ブログ)のツイートから。