白洲正子『鶴川日記』/ロラン・バルト『サド、フーリエ、ロヨラ』

雨。
よく寝た。
音楽を聴く。■ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲op.61(ミルシテイン、ウィリアム・スタインバーグ)。ヴァイオリン協奏曲の名曲中の名曲であることは疑いないが、それにしても最初の主題がシンプルすぎやしないかね。この素材から巨大な伽藍を創り上げてしまうのだから、ベートーヴェンには唖然とさせられるわけだが。なお、各楽章の主題は互いに関係があるようだ。終楽章が大好き。ミルシテインのヴァイオリンは申し分なし。多少ノイズが混じったようなザラザラした音だが、こういうヴァイオリンも好きだ。

■マスネ:二つの小品、二つの即興曲トッカータ、子供を寝かしつける調べ(チッコリーニ)。どれも洒落た曲。
マスネ:ピアノ作品集

マスネ:ピアノ作品集


県営プール。
図書館から借りてきた、白洲正子『鶴川日記』読了。読んでみて、自分の偽物ぶりを情けなく思うのみである。もちろん、白洲正子の云うことをすべて拳拳服膺するつもりはなく、本書でも「東京の坂道」なる部分はちっとも面白くなかったが、それにしても、本書に書かれている人たちの話は、自分の心に沁み入った。日本人は本当に多くのものを失ってしまった。それは疑いないことのように思える。失ったのは仕方ないが、その後に現れたものはどうなのか。特に人間たち。まあ、言っても本当にどうしようもないことではある。しかし、昔をそのまま取り戻すのは不可能であるし、仮に可能でも無意味なことである。その時代時代でやっていくしかない。
鶴川日記

鶴川日記

ロラン・バルト『サド、フーリエロヨラ』読了。誰か文庫で、バルトの新訳を出してくれないものだろうか。本書の最後部を見ると、みすず書房はバルトをたくさん出しているのだなあ。今でも品切になっていないのだろうか。
サド、フーリエ、ロヨラ

サド、フーリエ、ロヨラ