『アインシュタイン論文選』

晴。
アインシュタイン論文選』読了。副題「『奇跡の年』の5論文」。ペンローズによる序文付き。アインシュタインの「奇跡の年」というのは、特殊相対性理論や光量子仮説、ブラウン運動についての論文が矢継ぎ早に書かれた、1905年を指す。本書は、この年に書かれた五つの論文そのものを翻訳したものである。編者スタチェルの解題が有益で、ここだけでも読む価値があるだろう。またもちろん、アインシュタインの論文に挑戦できるというのは、スリリングな体験になるだろう。彼の論文は、よく云われるとおり、とても見通しの良いもので、無駄がなく簡潔である。もっとも、簡潔きわまるために、自分にはかなり難しかったことは、正直に告白しておきたい。ただ、難解な数学が使ってあるわけではないというのは、その通りである。むしろ、物理学の基本的な部分をどれだけしっかりと理解しているかが、鍵になるだろう。自分はまだまだ、古典的な物理学の素養が足りないようだ。何にせよ、これが文庫で入手できるとは、すばらしいことである。優秀な学部生さんたち、またその他諸々は、是非挑戦してみてほしい。

アインシュタイン論文選: 「奇跡の年」の5論文 (ちくま学芸文庫)

アインシュタイン論文選: 「奇跡の年」の5論文 (ちくま学芸文庫)


グールドの弾く、バッハのトッカータ集全曲を聴く。初めてバッハのトッカータが分ったような気がする。これらは作曲家がまだ二十歳かそこらのもので、BWV912, 910あたりはまだ書法が弱いが、フーガになると素晴らしい。やはりバッハは対位法の大家だと思う。もともとBWV914は好きで、今回聞いて、BWV913もいい曲だと感じた。書法が弱い部分も、グールドは緊張感をもって演奏している。
バッハ:トッカータ集

バッハ:トッカータ集