トーマス・マン『詐欺師フェーリクス・クルルの告白(下)』

雨。
トーマス・マン『詐欺師フェーリクス・クルルの告白(下)』読了。マンはこの小説を三十代の時から、最晩年に至るまで、長い中断を何度も挿みながら書き続けるわけだが、小説の結構としては未完に終っている。しかし、ここで中断はないでしょう。続きが気になるではないか。まあそれはともかく、西欧の奥深さをつくづく感じるところ(例えばクックック教授との会話)もあれば、口の回転に阿呆くさくなる(ゾゾに愛を説くところ!)部分もあって、やはり『魔の山』の作者だった。過度に荘重で、何とも理屈っぽいのだ。

詐欺師フェーリクス・クルルの告白(下) (光文社古典新訳文庫)

詐欺師フェーリクス・クルルの告白(下) (光文社古典新訳文庫)