カルヴィーノ『アメリカ講義』/ポール・オースター『シティ・オヴ・グラス』/シュワルツ『物理数学の方法』

休日。爽やかでいい天気。子供らが遊ぶのに丁度いい。
カルヴィーノアメリカ講義』読了。副題は「新たな千年紀のための六つのメモ」で、著者はこれからの文学に必要なものとして、「軽さ」「速さ」「正確さ」「視覚性」「多様性」の五つ(もう一つは書かれなかった)を挙げている。特に「軽さ」には共感する。澁澤龍彦コクトーを評して「軽さのエレガンス」ということをいい、澁澤の文章もこの「軽さ」を持っているが、これは会得するになかなかむずかしいものである。「人間的なものの世界が否応なく重苦しさを免れられない」(p.25)からこそ、これは永遠の課題なのだ。

カルヴィーノ アメリカ講義――新たな千年紀のための六つのメモ (岩波文庫)

カルヴィーノ アメリカ講義――新たな千年紀のための六つのメモ (岩波文庫)

ポール・オースター『シティ・オヴ・グラス』読了。オースターの処女作。導入がすばらしい。謎が読み手を一気に物語の中に連れていってくれる。既にストーリー・テリングの才能は明らかだ。知的な仕掛けもある。それだけに、この結末はちょっと残念。これは読む人にもよるだろうが、謎はきちんと解決してほしかった。これでは知的な仕掛けもペダントリーに過ぎないことになってしまう。いや、面白いんですよ、ほんとに。だからね。
シティ・オヴ・グラス (角川文庫)

シティ・オヴ・グラス (角川文庫)

L・シュワルツ『物理数学の方法』にざっと目を通す。ディラックのδ関数を、超関数として基礎づけた本。
物理数学の方法

物理数学の方法


妹一家帰る。