パスカル『パンセ(上)』

曇。このところすっきりと晴れないなあ。
音楽を聴く。■バッハ:ハープシコード協奏曲第六番BWV1057(ピノック、参照)。よい。爽やか。■モーツァルト交響曲第四十一番K.551(マッケラス、参照)。まあ普通にいい。勉強にはなる。■フンメル:幻想曲風ロンドop.19、六つのバガテルop.107から〜'La contemplazione'、幻想曲「パガニーニの思い出」、'Non più andrai'による幻想曲op.124(乾まどか、参照)。フンメルは明らかに二流三流なのだが、このおもしろさは何。不思議。

パスカル『パンセ(上)』読了。ようやく岩波文庫で『パンセ』が出るか(全三冊ということ)。『パンセ』は様々な版があって、自分のかつて読んだのは、ブランシュヴィック版に拠った前田陽一・由木康訳であるが、それから研究が大きく進んだらしい。今回の翻訳はだから、その前田・由木訳に比べると、断章の順番がまったくちがうし、新しく入った断章も少なくないようだ(といっても、かつて読んだのはだいぶ昔なので、記憶が朦朧としている)。今回まだ三分の一だが読んで思ったのは、パスカルの人間認識がとてつもなく暗いということであり、キリスト教を信じないのはバカだ(いや、それ以上)とでも云うべき論調が気になった。正直言って異様であり、鋭い考察に溢れてはいるけれど、どうも嫌な感じだ。まあ、こんな幼稚な感想では仕方がないのであるが、ヴォルテールも同じような印象を抱いたらしい。『哲学書簡』で詳細に論難している(あとで読んでみるつもり)。それはともかく、残りの巻が待たれる。

パンセ(上) (岩波文庫)

パンセ(上) (岩波文庫)

パンセ (中公文庫)

パンセ (中公文庫)

哲学書簡 (岩波文庫 赤 518-2)

哲学書簡 (岩波文庫 赤 518-2)

哲学書簡』の『パンセ』論難の部分を読んでみた。ヴォルテールは『パンセ』に感嘆していたにちがいないが、よほど我慢できない部分もあったのであろう、かなりしつこくやっている。まあ、批判のための批判もあるが、僕としてはヴォルテールの、人間はそう良くも悪くもなく、そこそこですよというスタンスは悪くないように思われる。パスカルの言うことは、極端すぎるのが多いような気がする。