晴。
濱口桂一郎『新しい労働社会』読了。副題「雇用システムの再構築へ」。日本的雇用の特徴は、「一種の地位設定契約あるいはメンバーシップ契約」と考えることができるという命題から、本書は多くを演繹的に導いてくるという、これはなかなか変った視点からの本である。議論はかなり専門的で、シンプルな解決策が書いてあるわけではない。もちろん、それが直ちに悪いということではないが、改革の実際については枝葉の議論が多く、大もとの原則は現状肯定的にも見えるのは確かだ。先日読んだ上野千鶴子と辻本元清美の本で強調された、「同一労働同一賃金」の原則は、日本の現状に合わないとして一蹴されている。これは理想を説く本ではなく、著者もそれを意図していないだろう*1。
- 作者: 濱口桂一郎
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2009/07/22
- メディア: 新書
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