濱口桂一郎『新しい労働社会』/伊藤静雄

晴。
濱口桂一郎『新しい労働社会』読了。副題「雇用システムの再構築へ」。日本的雇用の特徴は、「一種の地位設定契約あるいはメンバーシップ契約」と考えることができるという命題から、本書は多くを演繹的に導いてくるという、これはなかなか変った視点からの本である。議論はかなり専門的で、シンプルな解決策が書いてあるわけではない。もちろん、それが直ちに悪いということではないが、改革の実際については枝葉の議論が多く、大もとの原則は現状肯定的にも見えるのは確かだ。先日読んだ上野千鶴子と辻元清美の本で強調された、「同一労働同一賃金」の原則は、日本の現状に合わないとして一蹴されている。これは理想を説く本ではなく、著者もそれを意図していないだろう*1

新しい労働社会―雇用システムの再構築へ (岩波新書)

新しい労働社会―雇用システムの再構築へ (岩波新書)

伊藤静雄詩集』(isbn:4101203016)読了。

*1:著者よりコメントがありました。それから、辻元氏の名前に誤記がありました。失礼致しました。