かげはら史帆『ベートーヴェンの愛弟子』

日曜日。雨。
ゼロの使い魔』の各期EDが頭の中で反芻されるという夢。脳みそ、アニメで汚染(?)されているなあ。『ゼロの使い魔』というところがわたしらしくてバカバカしい。
あと、死を感ずるような夢。何だろうな。

何かいまでも2020年みたいでまだ2021年が体に沁み付いていないのだが、もう四月なのだよなあ。

NML で音楽を聴く。■ラフマニノフの「楽興の時」 op.16 で、ピアノはイリーナ・ボグダノヴァ(NML)。よいな! これはどういうピアニストだ。

Rachmaninoff: Works for Piano

Rachmaninoff: Works for Piano

  • 発売日: 2021/03/19
  • メディア: MP3 ダウンロード
 
ウチの夏みかんマーマレードを作る。


図書館から借りてきた、かげはら史帆『ベートーヴェンの愛弟子』読了。副題「フェルディナント・リースの数奇なる運命」。これはおもしろかった。ベートーヴェンの弟子としてチェルニーは有名だが、リースという人はよく知らなかった。しかし、彼もそれなりに当代一流の音楽家として認められ、ピアニスト、作曲家として活躍したのだな。ベートーヴェンの弟子というだけでなくて、リースは後世忘れられたけれど、彼もまた彼の人生を精一杯生きたということで、なかなか読み応えがあった。本書を読了してみて、リースって人が結構好きになり、その早い晩年(最愛の娘を喪ったりもしている)が悲しいとも思った。人生は悲しい。
 リースの作品は忘れられたが、Naxos や CPO といった音楽好きにはよく知られたレーベルでその曲のある程度が聴けるようになっているらしい。NMLでも既に少なからぬ録音が聴ける。これが、現代のすばらしいところですね。
 なお、本書はフェルディナント・リースのおそらく世界最初の伝記ということだが、しっかりした、文章もリーダブルなもので、失礼なことだが、わたしは最初ドイツ人研究者か何かの翻訳ものだと勘ちがいしていた。いや、わたしのような古くさいおじさんには、日本人がこういうことをあっさり(?)やれるというのは、やはり驚きで、いまは世界と近いのだなと思った。時代は変わる。本書は市の図書館の新刊コーナーに置かれていたものを、何となく借りてきただけなのだが、図書館の力に感謝したい。

なお、本書にはベートーヴェンの時代からロマン派初期の西洋の音楽界の状況が活写されており、それをリーダブルな筆で読めるのはありがたいことである。特に、ベートーヴェンの神格化と「クラシック音楽」なる概念の誕生は、わたしのような素人にも興味深かった。しかし、そのあたりの本書の評価はまた別の人物のなすべきことであろう。