鈴木大拙『禅と日本文化』/アラウの弾くブラームス

雨。
皮膚科。カルコス。レンタル店。
鈴木大拙『禅と日本文化』読了。自分の精神的貧しさを思わざるを得ない。「じつを言えば、われわれいわゆる現代人は閑暇(ひま)を失っている。悶える心には真に生を楽しむ余裕はなく、ただ刺激のための刺激を追って、内心の苦悶を一時的に窒息させておこうとするにすぎない。」(p.139)

禅と日本文化 (岩波新書)

禅と日本文化 (岩波新書)


クラウディオ・アラウのピアノで、ブラームスのピアノ協奏曲第一番を聴く。指揮はカルロ・マリア・ジュリーニで、六十年代初期の録音(音質はやや良くない)。この曲には個人的に、ポリーニの旧盤(指揮はベーム)という圧倒的な準拠枠があるので、どうしてもこれと比較してしまう。しかし、この曲はアラウに合うと確信していたし、期待は裏切られなかった。じっくり聴かせるところは、晩年のそれと同じで実に聴き応えがあるし、また技術的にも大変なヴィルトゥオーゾぶりを示している。特に、予想通り、第二楽章は絶品。また、これは特筆せねばならないが、ジュリーニの指揮が素晴しい迫力だ。ピアノとの掛け合いは息を呑ませる。さて、この曲はブラームスの最初の傑作と云ってよいが、結局その後、この曲を超えるような曲は書いていないのかも知れない。ピアノ協奏曲というジャンルでも、第一に指を屈したい。等々と思うくらい好きな曲なのだが、お気に入りの演奏がまた増えたことになったようだ。
 第二番も聴く。これも第一番と同じで、ゆっくり目のテンポで、肉厚の響きを以て弾かれている。グランド・スタイルというのか、一つひとつのフレーズがひと塊になって弾かれており、フレーズの間に微妙な間(ま)があるのが昔風だ。今まで聴いてきたリヒテルポリーニの演奏とはだいぶ違うが、これはこれでいいと思う。また、ここでもジュリーニの指揮は見事である。
Brahms: Piano Concertos Nos. 1 & 2

Brahms: Piano Concertos Nos. 1 & 2


寝酒の焼酎をお湯割にする。ほんと、寒くなってきたなあ。