晴。
寝坊。
昼過ぎまで睡眠の後始末。寝ていると脳みそが色いろやってくれやがるので、あとが大変である。
足立巻一『やちまた(下)』読了。下巻の半分くらい読むのに数時間かかった。何ともしんどかったが、それだけのことはあった。これはとてつもない本だな。この下巻は殆ど著者の自伝であるというべきであろう。それも優れた文学になっているのだが、あまり文学という言葉も使いたくないくらいである。僕は人生というものをあまり語りたくないのであるが、本書を読んでいて人生というものを考えざるを得なかった。人の一生って何だろうという、素朴な疑問である。それぞれの人にそれぞれの一生がある。当り前の話である。そして人生に意味などないが、誰の人生にせよ尊いというのもまた真実である。それは宣長のような偉大な一生でもあるし、春庭のような天才ならねどもたゆまぬ歩みを続けた一生でもあるし、また誰の記憶にも残らない凡人の一生でもあるだろう。でなんだといわれるともういうことがない。何度も落涙させられそうになりながら読了したことを付記しておこう。センチメンタルな男である。
- 作者: 足立巻一
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2015/03/20
- メディア: 文庫
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