アンダソン『ワインズバーグ・オハイオ』

晴。
音楽を聴く。■モーツァルト弦楽四重奏曲第十五番K.421(ターリヒQ、参照)。■■ドビュッシー:二つのアラベスク子供の領分、喜びの島、夢想、ピアノのために(パスカル・ロジェ参照)。「雪が踊っている」など、まさに雪が舞い踊っているようで、極めて美しい。アラベスク第一番は、愛らしい曲。このディスクは気に入った。■フォーレ:ヴァイオリン・ソナタ第一番op.13(ピエール・アモイヤル、パスカル・ロジェ)。アモイヤルのヴァイオリンはこれだけではわからないが、ロジェのピアノは素晴らしい。繰り返し聴くべき演奏だな。

Faure;Violin Sons.1&2/Andan

Faure;Violin Sons.1&2/Andan



2015年冬_50

図書館から借りてきた、アンダソン『ワインズバーグ・オハイオ』読了。小島信夫・浜本武雄訳。ワインズバーグというのはアメリカの架空の町なのだろうな。本書はそこを舞台とする、連作短編集である。登場人物は若い新聞記者のジョージ・ウィラードを一応の主人公としながら、共通する登場人物をもち、全体がゆるやかに繋がっている。それは外見的体裁であるが、小説のテイストはちょっと形容に困る、奇妙なものだ。登場人物たちが皆あまりにもグロテスクだから。我々小市民は、そりゃ確かに誰でも「怪物的な」部分をもたないわけではないだろうが、日本人だから特にそうかも知れないのだけれど、自分をもっと「ふつう」に見せたがるものではないだろうか。もちろん本書にもそういう庶民の様子は描かれているけれど、敢て「幻想文学的」とすら云える誇張、グロテスクぶりが見られると思う。何か、彼らはロボットのようではないか。登場人物たちには、人間らしいところが希薄なのだ。だから、本書は「人生の鏡」ではないのだと思う。そういう文学ではない。むしろ、奇妙なお話に近い。これは、貶下的に言っているのでないのはもちろんである。また「愛」と「性欲」の問題が、グロテスクな形でこれでもかと繰り返されることを指摘しておこう。
ワインズバーグ・オハイオ (講談社文芸文庫)

ワインズバーグ・オハイオ (講談社文芸文庫)

本書についての皆さんのブログの感想が、レヴェルの高いものが多いです。上のはてなのリンクから是非覗いてみてくださいな。

AM0:04頃地震震源地は岐阜県美濃中西部、最大震度は4。この辺りは実感として震度3くらいだったか。