ナボコフ『ナボコフの文学講義(上)』

晴。風花飛ぶ。
ウラジーミル・ナボコフナボコフの文学講義(上)』読了。『マンスフィールド・パーク』も『荒涼館』も読んでいないのです、御免なさい。『ボヴァリー夫人』は中村光夫訳という、奇妙なエディションで読んでいるし。世評の高い伊吹武彦訳で読み返そうと思っているのだが。しかし、『マンスフィールド・パーク』と『荒涼館』についての講義は、粗筋の紹介と引用が八割なのですけれど、これがいいのだろうか。ナボコフは小説とは繰り返し読むものだという人なのだから、小説が未読の人でも楽しめる講義ではない。それはともかく、いずれも徹底的に細部に拘った、しかも視覚的な読解である。ナボコフは、くっきりとした映像を喚起しないような小説は、小説と認めない。一流の読み手とされる人は、そんな風に読むのか。なるほどなあ。

ナボコフの文学講義 上 (河出文庫)

ナボコフの文学講義 上 (河出文庫)


晩年のリヒテルが弾くバッハを何となく聴き始めたら、ハマッてしまった。フランス風序曲やイタリア協奏曲が感動的だ。技術的には確かに衰えは多少あるが、いまだに充分な能力はあるし、もはやリヒテルも消滅してしまって、音楽そのものを聴いているような感じに襲われることがある。下にイタリア協奏曲の演奏を貼り付けておく。本当は第二楽章だけあると意図がよくわかるかと思ったが、全曲盤しか(?)なかったので、それではどうぞ。第二楽章は4:00くらいからです。(AM1:12)