辺見庸『赤い橋の下のぬるい水』/川本耕次『ポルノ雑誌の昭和史』/菊地成孔、大谷能生『東京大学のアルバート・アイラー キーワード編』

曇。夜雨。
辺見庸赤い橋の下のぬるい水』読了。短篇集。不透明なところは取り柄で、タイプは違うが、ちょっと島田雅彦を思い出した。解説で吉本隆明が褒めている。

赤い橋の下のぬるい水 (文春文庫)

赤い橋の下のぬるい水 (文春文庫)

川本耕次『ポルノ雑誌の昭和史』読了。こういう本は、意外と大手出版社しか出せないのだよね。類書が少ない。内容は八十年代に入る前までで、自分の知っている話題はほとんどなかった。しかし、エロというのは笑いを誘発するところがある。実際、本書を読んでいて、何度も笑ってしまった。それから、著者近影の顔のふてぶてしいこと。こういうアクの強い顔は、近頃見なくなったな。それにしても、この業界に入ってから、一般にメジャーになった才能が少なくないのには、驚かされる。本書では取り扱っていないが、大塚英志岡崎京子などは、あまりにも有名だろう。
ポルノ雑誌の昭和史 (ちくま新書)

ポルノ雑誌の昭和史 (ちくま新書)

菊地成孔大谷能生の共著『東京大学アルバート・アイラー 東大ジャズ講義録・キーワード編』読了。難しすぎて何だかよくわからない部分もあるが、ノリで読ませてしまう。こういう偉大な講義は、分析など後世がやればいいのだ。しかし、前にも書いたが、とてつもなく「パラノ」(古いか)である。こういう高密度パラノが、現代でも可能なのだなと感嘆する。このコンビ、最後まで読むぞ。次は『M/D』だ。