曇。
早起き。
モーツァルトのクラリネット五重奏曲 K.581 で、演奏は Wiener Oktett。まずは申し分のない演奏だ。おすすめ。
シューベルトの八重奏曲ヘ長調 D803 で、演奏はWiener Oktett。もしかしたらこの曲、初めて聴いたのではないか。実質的にディヴェルティメントあるいはセレナーデという感じだな。悪くないし、演奏がいい。
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昼前から雨。小寒いくらい。
昼から仕事。
マキャヴェッリ『君主論』読了。森川辰文訳。かつて読んだのは中公文庫版だったろうか。新訳は読みやすい。以前読んだときは通念に引きずられていわゆる「マキャヴェリズム」を中に読み込んでいたという気がするが、今回読んでみて「マキャヴェリズム」などは大したことではなかったし、そうおもしろいものでもなかった。マキャヴェッリは人間は邪悪である(p.152)という正しい認識をもっていただけで、あとは正確に同時代のイタリアの政治状況を把握し分析しただけのことである。むしろおもしろいのは現実の把握であり、以前は気づかなかったが、同時代の覇者たちの行動が活写されている。特にチェーザレ・ボルジア(本訳書では「ボルジャ」と表記)、マキャヴェッリは「ヴァレンティーノ公」とも書いているが、彼のエピソードはきわめておもしろい。ボルジアは織田信長みたいなやつで、後世の文学作品などに無数に取り上げられている傑物である。なんとなく、昔好きだったブルクハルト(林達夫の影響である)が読み直したくなってきた。古典新訳文庫とかに『イタリアにおけるルネサンスの文化』を入れてもらえないかと思うくらいである。ちなみにこいつはドイツ語原典ももっていて*1、おぼつかないドイツ語で冒頭部分に目を通したりしたのがなつかしい(もちろん通読は挫折した)。しかしマキャヴェッリだが、
しかしながら、次のように判断する。すなわち、慎重であるよりは勢いにまかせたほうがよい、と。なぜなら、運命の神は女なので、運命を支配しようと思えば、たたいたり突き飛ばしたりして服従させる必要があるからである。…それゆえ、女と同じように、運命は若者の友なのである。なぜなら、若者というのはあまり慎重ではなく、より荒々しく、より大胆に女を支配するものだからである。(p.214)
はよかったね。訳者によればフェミニズムがこれを問題視することがあるそうであるが、アホである。バカにつける薬はないのかも知れない。とにかく、マキャヴェッリはこれを見ても、なかなか愉快なやつだったようだ。サマセット・モームの歴史小説ではマキャヴェッリが大活躍するが、人生を楽しむことを知っている精力的な人間として活写されていたのを思い出す。
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ちょっと調べてみたら、「マンドラゴラ」は筑摩書房の『マキァヴェッリ全集 4』に収録されていることがわかった。これ、県図書館にあるんですね。さすがだ。今度借りてこよう。
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*1:それだけでない、なんと『チェチェローネ』までドイツ語版をもっているのだぜ。どうだ。ってこれなんか、僕がもっていても宝の持ち腐れ(?)なのだけれどね。