村山斉『宇宙は本当にひとつなのか』/古井由吉『夜の香り』/菅野礼司『ゲージ理論の解析力学』

日曜日。晴。
村山斉『宇宙は本当にひとつなのか』読了。題名からすると多元宇宙の話のようだが、もちろんそれもあるけれども、暗黒物質と暗黒エネルギーの話がかなり具体的だ。暗黒物質というのは、どうやら既存の粒子(例えばニュートリノ)ではないらしい。ニュートリノ以上に反応しないということだ。速さも遅いとか。銀河のまわりをすっぽり覆っている。で、それでも暗黒物質については少しずつ分りつつあるようだが、暗黒エネルギーとなると、殆どお手上げらしい。宇宙が膨張するにつれて、どんどん湧いて出てくるのだそう。多元宇宙や多次元宇宙などというのも、それらを救う窮余の一策、という面がないでもなさそうだ。

宇宙は本当にひとつなのか―最新宇宙論入門 (ブルーバックス)

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古井由吉『夜の香り』読了。短篇集。何とも惨めったらしいというか、現代の寂れた駅前商店街のようだというか。そういう空気をぷんぷんと発散させているという、これはやはり一つの技術だろう。過去のものだが、懐かしくも何ともない、目を背けたい、そんな気になってくる。男女のことでも、今の女の子だったら、こんな惨めな男女関係であり、夫婦生活なら、ひとりでいる方が増しだと思うのではないか。が、表題作である「夜の香り」は、怪作である。夜の香りといっても、あまく危険な香りというわけではなくて、しつこい天麩羅の臭いなのだ。読み手をぐんぐん引っ張っていく力があり、馬鹿馬鹿しいユーモアすら感じる。著者にしては、めずらしい作だと思うが、思わず出来てしまったのではないか。
夜の香り (福武文庫)

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菅野礼司『ゲージ理論解析力学』にざっと目を通す。本論である後半はまあ自分のレヴェルを超えていたが、拘束条件をもつ解析力学の解説である、前半はかなりわかりやすかった。同じ著者の『微分形式による解析力学』も欲しくなってしまった。
ゲージ理論の解析力学

ゲージ理論の解析力学