レヴィ=ストロース『われらみな食人種(カニバル)』

曇。
 
NML で音楽を聴く。■バッハの無伴奏チェロ組曲第一番 BWV1007 で、チェロはサユウン・ソルステインスドッティル(NMLMP3 DL)。■イザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第四番 op.27-4 で、ヴァイオリンはヒラリー・ハーンNMLCD)。よい。■ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第三十番 op.109 で、ピアノはヴァレリー・アファナシエフNML)。1990年のライブ録音。さすがはアファナシエフというか、重心の低い、ベートーヴェンらしいベートーヴェン。終楽章はすごく遅いけれど、全然おかしくない。しかし、この方向に希望はあるのだろうか、とかちょっと思ってしまうわたしがいる。歴史の終着点、というような演奏だ。その先はない。いずれにせよ、若い人はこういうのを聴いた方がよいと思う。

 
昼。
ジョン・ブル(1563-1628)のファンタジア、幻想的なパヴァーヌとガイヤルド、カノン No.51, 48, 39, 7, 15, 114、前奏曲とキャロル「清き心もて称えん」、「道化師」、「ウォルシンガム」で、ピアノはキット・アームストロング(NMLCD)。
 
 
外気34℃でだいぶ凌ぎやすい。
ミスタードーナツ イオンモール各務原ショップ。シナモンリング+ブレンドコーヒー429円。シナモンリングうまいな。
 図書館から借りてきた、レヴィ=ストロース『われらみな食人種(カニバル)』(邦訳2019、原著2013)読了。エッセイ集。コーヒーがまだ残っていたので(二回おかわりした)、直ちに二周目に入る。わたしにはレヴィ=ストロースは頭がよすぎて論理の展開が充分に追えないので、繰り返し読む他ない。(でもまあ、線型的な思考しか追えない人は、いくら優秀でもレヴィ=ストロースはわからないだろうが。)この筋金入りのペシミスト(と、中沢さんはレヴィ=ストロースのことを呼んだ)にして現代の「新石器人」は、ほとんどのインテリよりも頭がよいという、変わった人なのだ。
「ところが、相も変わらず独特な日本思想は、われわれの西洋哲学と同じくらい、他の極東のどの哲学とも異なっている。極東の諸哲学と違って、日本思想は主体を無効化しない。ただし、西洋哲学とは違って、主体をあらゆる哲学的反省の、つまりは、思考によって世界を再構築する試みの出発点にもしない。」(p.52)
「日本思想はわれわれのように主体を原因に仕立てあげる代わりに、それをひとつの結果とみなす。西洋哲学は主体について遠心的である。他方、日本の哲学は求心的であり、主体を筋道の終わりに置く。」(p.52)
深い洞察である。これを河合隼雄先生は、日本の「中空構造」と呼んだ。これは日本人の精神の西洋(あるいは西欧)化にもかかわらず、まだ失われていないと中沢さんはいっている。わたしも完全に同意見である。しかし、これがいつまでも続くかはわからない。構造的なところまで、日本人の心が西洋化する日が来るかもしれないし、日本のインテリたちは明治から続くその作業を、さらに徹底しようといまも日々努めている。「中空構造」は、それを包み込む作用と捉えれば、西田哲学の「場所」のことだといってもいい。その意味で、日本文化は「母性的」といえるのかも知れない。それは、精神分析学的にいえば、「ファロス」を中心に置く(ファロサントリスム)、「男性的(=男根的)な」西洋的構造と対照していると、レヴィ=ストロースは考えているといえるかも知れない。
 いや、失言。レヴィ=ストロースではなく、わたしが、だな。
 

 
夜。
ニセコイ:』(2015)第5話まで観る。2期。いや、1期より断然おもしろいじゃん。第1話からいきなり笑える、笑いがパワーアップしてるな。しかし、千棘がデレ出したのはいいけど、小野寺の出番がむっちゃ少ないんですけど。ま、これからか。OP曲は謎に LiSA。