辻井伸行を聴く

日曜日。晴。

NML で音楽を聴く。■ラフマニノフのピアノ協奏曲第二番 op.18 で、ピアノは辻井伸行、指揮は佐渡裕、ベルリン・ドイツ交響楽団NML)。最近ではこれほどの射程に出会ったことがない。というようなことをわたしごときが言うのは烏滸がましいのだが。佐渡さんも、小澤征爾以降最高の日本人指揮者(もちろん、日本人と限定すべきレヴェルではないけれども)だということを確認した。辻井君は NML ではあまり聴けないけれど、佐渡さんはたくさん聴けるから、もっと聴いてみないとな。

Piano Concerto No 2/Liszt

Piano Concerto No 2/Liszt

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ショパンの練習曲集 op.10 で、ピアノは辻井伸行NML)。コンクール予選の録音。昨日 iPad mini で聴いていて、どの演奏を聴いてもその「深さ」に感銘を受けたのだが、あらためて NML で聴き直してそれはまちがっていなかったことを確信した。辻井君は技術もすばらしいが、コンクールの他の出場者も皆んなすごい技術をもっているのであって、でも「深さ」で辻井君に匹敵する奏者はいなかったのである。でも、たんに「深さ」だけでなく辻井君は全方位に突き抜けているのであって、正直言ってわたし程度にはその限界はわからない。それから、音楽そのものと言いたい、演奏の誇張のなさ。どういう曲を聴いても、じつに「自然」な演奏のように聴こえる。へんな話だが、「自然に演奏しよう」とすら考えていないかのよう。まさに、純粋に音楽が鳴っているという感じ。ショパンの「子守歌」 op.57 で、ピアノは辻井伸行NML)。■ドビュッシーの「映像」第一集で、ピアノは辻井伸行NML)。コンクール予選の演奏。

 
昼。
■リストの大練習曲 ~ 第三番「ラ・カンパネッラ」で、ピアノは辻井伸行NML)。■ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第二十九番 op.106 で、ピアノは辻井伸行NML)。いわゆる「ハンマークラヴィーア・ソナタ」で、コンクールのセミファイナルの演奏。終楽章の長大なフーガに圧倒された。さらにいろいろ思うところはあるのだが、自分の能力を超えるので書かない。

第二楽章は辻井君にはめずらしく、ちょっと崩れているな。ミスタッチも多い。第一楽章が終わって拍手があったせいで、集中しきれなかったか。

夜。
ショパンのピアノ協奏曲第一番 op.11 で、ピアノは辻井伸行、指揮はジェイムズ・コンロン、フォートワース交響楽団NML)。コンクールのファイナルの録音。■ジョン・マスト(1954-)のインプロヴィゼーションとフーガで、ピアノは辻井伸行NML)。セミファイナルの録音。■ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第二十三番 op.57 で、ピアノは辻井伸行NML)。いわゆる「熱情ソナタ」で、ファイナルの録音。辻井君、盛り上げる力もすごいな。終楽章最終部の Presto は聴いていてあまりの壮絶さに息ができないような感じだった。■リストの「十九のハンガリー狂詩曲」 ~ 第二番 嬰ハ短調で、ピアノは辻井伸行NML)。リストのポピュラー曲を弾いても、全然空疎にならない。

これで NML で配信されているコンクールの録音はすべて聴いたことになる。残念なのは、タカーチ四重奏団と共演した、シューマンピアノ五重奏曲 op.44 の演奏が聴けないこと。どこかから出ないかなあ。

You Tube でも延々と辻井君を聴く。