多和田葉子『変身のためのオピウム』

雨。

NML で音楽を聴く。■モーツァルト弦楽四重奏曲第十八番 K.464 で、演奏はクレンケ四重奏団(NMLCD)。■ブラームスのヴァイオリン・ソナタ第一番 op.78 で、ヴァイオリンはジェラール・プーレ、ピアノはイタマール・ゴランNML)。そういえば今日は雨だな。

Sonates Pour Violon Et Piano

Sonates Pour Violon Et Piano

ジェラール・プーレというヴァイオリニストはとても有名な方なのだな。シェリングの弟子で、「フランスの至宝」とか呼ばれるらしい。知らなかった。なるほど、それで安定感のあるブラームスだったわけだ。音色はちょっと暗めな感じがする。■ショスタコーヴィチ弦楽四重奏曲第八番 op.110 で、演奏はドビュッシー四重奏団(NML)。
String Quartets

String Quartets

ぐーぐー寝てばかりいる。見知らぬ女の子の部屋で目が覚める夢を見る。もうそんな齢じゃないのにな。それに、それが大阪と京都の境付近で、しかも海が近いという現実にありえない場所。いったいどうなっておるのだ。

多和田葉子さんの『変身のためのオピウム』という小説を読む。自分の外部にあって、居心地が悪いのがおもしろい。不気味なイメージも頻出する。その外部をひたすら内部へ繰り込もうと勝手に頭脳がはたらくが、それはあるいは「正しくない」読み方かも知れない。差異を差異のままあらしめよ、理解などあやまり、「誤配」こそが生産的だ、そんなことが言われた時代もあったが、さてそれはどうであったか。何にせよそんなことに関係なく、自分の精神は勝手に内部に繰り込み、同化吸収しようとする。まさに凡庸、浅田さん的にいうパラノ的ドライブかも知れない。かつてそれはまちがっているといわれたものだ!


■ニコス・スカルコッタスの「組曲(1924)」、「ピアノ・ソナチネ」で、ピアノはロレンダ・ラモウ(NMLCD)。スカルコッタスというのはなかなかおもしろいな。ギリシア人でいまの基準だと若死にだったが、実(じつ)のある音楽を書いた。

図書館から借りてきた、多和田葉子『変身のためのオピウム』読了。これはわたしだけかも知れないが、読んでいると吐き気のようなものを覚える。決して disるつもりはないが、気持ちが悪いところがある。この居心地の悪さは、著者の大変な美点というべきだろう。純文学は、人を嫌な気持ちにさせるのが傑作というところがあるから。もっとも、オレはちっともそんな気にならないという人もいるだろうな。わたしのナイーブさの発露というところであろうか。

変身のためのオピウム

変身のためのオピウム

 
エリアーデを読む。
早寝。