オリヴィエ・ブロック『唯物論』

曇。
朝寝坊。
音楽を聴く。■モーツァルト:ピアノ・ソナタ第十番 K.330(ピリス、参照)。ピリス素晴らしい。聴いた方がいいと思うよ。ピリスは古くもあり、新しくもある。射程の広いピアニストだ。■ベートーヴェン弦楽四重奏曲第十二番 op.127 (ゲヴァントハウスQ、参照)。この曲はゲヴァントハウスQに合っているのではないか。この曲の演奏でこれまで聴いた中でいちばんおもしろかった。■シューマン:交響的練習曲 op.13、アラベスク op.18 (クラウディオ・アラウ参照)。まぎれもない超一流ピアニスト。これぞシューマン。しかし、どうしてこういうピアニストがいなくなってしまったのだろう。自分が古くさいだけなのか。

図書館から借りてきた、オリヴィエ・ブロック『唯物論』読了。コンパクトな文庫クセジュであるが、中身はかなり専門的で読み応えがある。見通しは明快。色いろと勉強になった。まあ唯物論そのものにそれほど興味があるわけではないけれど、現在のいわゆる「心の哲学」「心の科学」の隠れたイデオロギー臭に満ちた唯物論にはウンザリ気味で、何の思索もなく自由意志の否定を唱える連中の脳天気ぶりには呆れる。もちろん自由意志は否定さるべきかも知れないが、それが事実だとしても我々が自由意志を捨て去るわけにはいかないことがわかっているのかと思う。自由意志を否定することは倫理を否定することとほぼ同じなのだ。例えば、自由意志がなければ責任という概念は空洞化してしまう。これを見ても、唯物論は重要な哲学的概念なのだ。
 本書を見ると(いや見なくても)「唯物論」の対義語は「観念論」であるが、これは歴史的な経緯にせよ、不思議な感じがする。唯物論そのものは、非常に観念的な発想だからだ。哲学そのものが「観念論」だという気がする。もっともこれは、歴史的に「正しい」用語法ではないかも知れない。というか、そのあたりを考えるのに本書が役に立つわけである。

唯物論 (文庫クセジュ)

唯物論 (文庫クセジュ)


ThinkPad T410i の空いたパーティションUbuntu MATE 16.04 を入れようと思ってやっているのだが、マウントポイントを指定するところで異常に時間がかかっている。五時間放置したすえ一度中断してやり直しているけれども、事態は特に変っていない。確かに時間がかかるかもしれないと表示されているのだが、こんなにかかるものなのか。ただ、ちゃんと HDD にアクセスはしているので、フリーズしているわけではない。ちょっと朝までそのままにしておこうと思う。