駒村康平『中間層消滅』/『池澤夏樹の世界文学リミックス』

曇。時々パラつく。
昨晩は明け方まで Ruby で遊んでいたので、起きるのが遅くなった。ちょっと怠惰だしなあ。

図書館から借りてきた、駒村康平『中間層消滅』読了。散々読んできたタイプの本で、特に目新しいところは感じなかった。トリクルダウンの否定が説明されていたが、まあそうなのかな。何とかしないと日本の先行きが暗いというのは、よくわかっているが、どうすべきかというのは人によってちがって、我々にはよくわからないというのが本音である。個人的には、いま自分の生活に余裕があるのは、後期高齢者になってもまずまず元気な両親のおかげで、将来はいまほど余裕がなくなるのはわかりきったことだ。色々な理由で、結婚などはまず無理であろう。しかし問題は、自分のような人が少なくないし、自分よりさらに大変な人がこれから益々増えるのが確実なことだ。そして、それこそ本書の題名どおり中間層がなくなり、人々が二極化していることが、世論の一致を妨げるであろう。勝ち組が負け組を抑圧する国に、これから日本はなっていくことになる。まあこれは、日本だけのことではないが。アメリカでは既にそうなっているから。

中間層消滅 (角川新書)

中間層消滅 (角川新書)

図書館から借りてきた、池澤夏樹池澤夏樹の世界文学リミックス』読了。池澤夏樹は大変な読書家であり、知識人の自負をもった人である。ただ僕は、あのシャレオツな文体が苦手だ。あの文体は、僕の人生と交わるところが少ない。早い話、あの文体で僕の日常を書くことはできないのだ。しかしそれだからこそ、読むべきだとも思う。苦手というのは、そこにこそ自分の弱点があるのだ。まあそんなのは個人的なことで、本書を読んでいて、この小説ってこんな話だったっけというのが幾つもあった。いかに自分がいい加減に文学を読んでいるかという証拠である。『百年の孤独』を積ん読にしておくのもマズすぎるだろう。精々精進いたしまする。
池澤夏樹の世界文学リミックス

池澤夏樹の世界文学リミックス


僕は今更いわゆる安保法案に関して言いたいことはあまりないが、今日の市民たちの抗議の様子をテレビで見ていて、何も思わないことは不可能である。それでも、やはり法案は通ってしまうけれども。いま言いたいことがあるとすれば、あの法案は徹頭徹尾現在の日米関係の産物であるという背景だ。つまり、世界で孤立しつつある(それは不可避である)アメリカが、ついに属国日本を盾に選んだということである。例えば尖閣諸島で日中が衝突しても、米中戦争になることは絶対にない。そして、アジアとは別の場所で自衛隊員に死者が出ることだろう。それが「日本の国際的責任」と称されるものの中身である。日本はそれを選択したが、一部納得できない人たちが最後まで抵抗している姿を、今日テレビで見た。法案が通過した後、彼ら彼女らはどうするのだろうか。実際に戦場に行く自衛隊員らは、どう思っているのだろうか。ちなみに、この法案が通らないことが仮にあったとしても、やはり事情は大して変わらないだろう。それは法案だけの問題ではないからだ。今まででも、自衛隊員に戦死者が出ていないのは幸運だったにすぎないのだから。
 何度も書くけれど、我々は沖縄にこそ注目すべきである。あそここそ、最前線なのだ。国会前が、沖縄に繋がることを望む。