岐阜県美術館の「熊谷守一展」

晴。涼しいを通り越して寒い。
音楽を聴く。■バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第一番BWV1001、パルティータ第一番BWV1002、ソナタ第二番BWV1003(ナタン・ミルシテイン)。この曲集の、最上級の演奏のひとつ。

Bach:  Sonatas and Partitas for Solo Violin

Bach: Sonatas and Partitas for Solo Violin

ブラームス弦楽四重奏曲第一番op.51-1(タカーチQ)。満足。
Brahms: String Quartets Op. 51 & 67 / Piano Quintet Op.34

Brahms: String Quartets Op. 51 & 67 / Piano Quintet Op.34


仕事の前に、岐阜県美術館の「熊谷守一展」に行く。熊谷は岐阜出身ということで、以前にも岐阜県美術館で展覧会があったが、今回はそれを上回る規模だった。デッサンなども入れれば、五〇〇点を超えている筈である。内容も素晴らしい。初期から最晩年まで、正直言ってすべてを気を入れて見ることはできないほどの質と量である。以前もそう思ったが、熊谷守一は真の晩成型で、熊谷が本当に熊谷らしくなってくるのはじつに六〇歳あたりからなのだ。それまでも悪くはないが、作風は一定せず、これだけでは恐らく現在の評価は得られなかったであろう。皆さんはどう思われるか知らないが、熊谷守一は日本を代表する大画家のひとりであり、世界のどこに出しても通用する画家である。それは、六〇歳以降の、シンプルな画風に転じてからのことである。それまでの暗い画風から、画面はとても単純化され、色彩がハッとするほど美しく、かつ事物の本質のみを射抜いた絵になっている。特に、生き物の絵がいい。個人的には猫の絵が好きで、幸せそうに寝ている絵もあるし、野良の子猫の絵は、何ともオドオドして情けない感じに打たれる。野良の子猫って、ホントにこういう感じなんですよ。花の絵もいいしね。もう、七〇、八〇代の絵はどれも最高にいい感じ。
 会期末で、なかなか人出は多かったが、しかし熊谷守一ほどの画家なら長蛇の列があっても……と思うけれど、そうではないのだなあ。皆わかってないね。展覧会は今週までです。絵が好きで近くの方は、これは必見ですよ。よろしかったら是非どうぞ。

県図書館にも寄る。

id:vzf12576さんのブログ「本はねころんで」を読んでいて、京都の古書店「善書堂」が閉店したことを知る。最近ではもう行くこともなかったが、これはショック。学生の時、ここでは色々いい本を買ったのだった。岩波書店露伴随筆全五巻がとりわけ思い出に残っている。それから、井筒俊彦の『神秘哲学』が高くて買えなかったのも忘れられない。赤尾はすっかり変ってしまったそうで見たくないし、白川通の「文庫堂」も閉めたらしいが、完全に関係者だった吉岡は残っていて欲しいものだ。京都でもそんなものか。岐阜だとなあ。でも、まだ徒然舎さんに行っていないのですけれど。そのうち行かないと。