ジョアオ・マゲイジョ『マヨラナ』/大澤壽人のピアノ協奏曲第二番他

曇。
寝過ぎ。でも、久しぶりに気持ちのいい目覚めだった。
音楽を聴く。■バッハ:イギリス組曲第三番、第四番(ペライア)。第四番は地味な曲だと思っていたが、なかなかいいではないか。ペライアサラバンドで、相当に装飾音をつけて弾いている。
プール。アピタとその本屋。

図書館から借りてきた、ジョアオ・マゲイジョ『マヨラナ』読了。副題「消えた天才物理学者を追う」。本書の主人公は物理学者エットーレ・マヨラナで、「マヨラナ粒子」(粒子と反粒子が同一の中性フェルミオンWikipedia))で知られる。三十代初めで謎の失踪をした。本書は物理学者の手に成るものだが、その失踪について、ミステリー仕立てで語られると言えないでもない。ただ、筆致には相当癖がある。例えば、確かにマヨラナは天才的な能力をもっていたようだが、著者に拠れば、核力と中性子の理論、いわゆる「第二量子化」、パリティ対称性の破れなども、マヨラナは既に発見していたという。自分はその真偽を知らないが、まだそれはいい。著者に拠れば、フェルミ核分裂の事実を発見し損なった、性格的にもどうしようもない愚物であるようだが、まあそれも、そうでないという事実を自分は知らないので、仕方がない。そうなのかも知れない。しかし、ディラックサヴァン症候群だったのかもというのは、ちょっと酷すぎるのではないだろうか。著者が「相対性理論は間違っている」本である、『光速より速い光』の著者でもあることを知ったときは、何となくわかったような気がした。この本は読んでいるが、ちっとも感心しなかったと覚えている。マヨラナ失踪のミステリーについては、正直言ってあまり興味なし。癖のある本だとは認識して、読むべきだと思う。

マヨラナ 消えた天才物理学者を追う

マヨラナ 消えた天才物理学者を追う

吉本隆明を読む。

ナクソス日本作曲家選輯」の大澤壽人第二弾。本ディスクに収められているのは、ピアノ協奏曲第二番と交響曲第二番である。いずれも初演はパリで、好評だったという。ピアノ協奏曲の方は、フランス風プロコフィエフというか、とてもモダンな曲だ。この曲も、埋もれていたとは信じがたい出来で、充分再評価に値する。ピアノのサランツェヴァはよく弾いていて、曲の魅力を引き出しているが、例えばこれがアルゲリッチだったらという思いもまた禁じ得ない。
 交響曲の方は、複雑な曲であるが、日本っぽい雰囲気も(恐らく意図的に)出ている。詳細は、片山杜秀氏の入魂のライナーノーツを参照されたい。ちょっと残念なのは指揮のヤブロンスキーとロシア・フィルハーモニー管弦楽団で、最上の演奏を空想しながら聴くのはあまり楽しくない。日本人の曲を必ずしも日本人が演奏しなくてもいいとは思うが、日本人の指揮者、日本のオケで、もっとやれるところはあるのではないか。いや、演奏してくれただけでも良しとすべきなのか。
大澤壽人:ピアノ協奏曲第2番/交響曲第2番

大澤壽人:ピアノ協奏曲第2番/交響曲第2番