高橋昌一郎『感性の限界』/池澤夏樹『バビロンに行きて歌え』/志賀浩二『ベクトル解析30講』

日曜日。晴。
高橋昌一郎『感性の限界』読了。日録に書く。

池澤夏樹『バビロンに行きて歌え』読了。東京に密入国した、もと戦士(「テロリスト」ということになるのだろうか?)の若いアラブ人が、日本でロック歌手として成功するという話。どう読むか戸惑う。アラブ人と比較して、日本人の人生は、生きているとは云えないということを象徴した小説と読むか。日本人の平和ボケを抉り出した小説と読むか。バビロン=東京は平和で、しかも活力があるから、主人公のようなサクセス・ストーリーも可能だと読むか。いや、純粋にお話として読むべきか。そうすると、あまり高い点は付けられない。著者の文章を好む人は少なくないし、それは妥当だと思うが、小説家の文体ではないのかも知れない。ドロドロしたものへの掘削力が足りないように思える。自分が東京にもロックにも無知なせいもあろうが、話のリアリティにも疑問を感じるし、正直言ってちょっと退屈だ。
バビロンに行きて歌え (新潮文庫)

バビロンに行きて歌え (新潮文庫)

図書館から借りてきた、志賀浩二『ベクトル解析30講』にざっと目を通す。双対ベクトル空間が抽象的で、今ひとつわかりにくいのだよなあ。もともと代数は苦手なので、最初の方の、テンソル代数、イデヤル、外積代数のあたりがきつい。後の方のグリーンの公式、ガウスの定理などは、電磁気学で出てくるものの抽象化だから、わかりやすいのだが。しかし、外積代数や微分形式は重要だから、もっと読み込んでみよう。
ベクトル解析30講 (数学30講シリーズ)

ベクトル解析30講 (数学30講シリーズ)