曇。
由良君美『言語文化のフロンティア』読了。読んでいていろいろなことを思ったが、もっと十九世紀から二十世紀初頭の西欧文化を勉強しないとなと、痛感させられた。ここで生み出された文化遺産は、世界史的に見ても稀有の達成だろう。変な話だが、日本の「文庫本文化」の弱いところが、ここである。文庫本ばかり読んでいる貧しい自分の弱点があからさまになったという感じだ。まあ自分など、博覧強記の著者に比べれば、カスみたいなものではあるが。
いま流行りの「社会学」がないのは時代を感じさせるが、著者が存命でも、社会学には手を出されなかったような気がする。そこらあたりが、今では古めかしく見えてしまう所以ではあろう。徹底的な「人文系」なのだ。しかし、本当によく読んでおられる。南方熊楠まで守備範囲にしておられるのは、さすがである。著者を「幻想文学」に、過度に結びつけるべきではないと思う。真の意味での、「文化人」という名に値する知識人なのである。それが、滅び行く種族であるにしても。
しかし、やはりスタイナーは読まなければいけないようだな。
- 作者: 由良君美
- 出版社/メーカー: 創元社
- 発売日: 1975
- メディア: ?
- 購入: 1人 クリック: 4回
- この商品を含むブログ (2件) を見る
- 作者: コンラッド,Joseph Conrad,中島賢二
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2005/09/16
- メディア: 文庫
- 購入: 4人 クリック: 91回
- この商品を含むブログ (12件) を見る