高橋康『物理数学ノート1』へのメモ(3次元の回転のベクトル表現)

昨晩、寝る前にふとんの中で高橋康の『物理数学ノート1』を眺めていて、ちょっと欄外に計算を始めたら、あっという間に三時半になってしまいました。以下、第四章第四節(Levi-Civitaの全反対称テンソル)でやった計算の、まったく個人的なメモに過ぎません。題材は、3次元空間における、ベクトルeのまわりの回転の表現です。
 以下、次元はすべて3次元。
 Levi-Civitaの全反対称テンソル とは、i,j,kが1,2,3の偶置換のとき1、奇置換のとき-1、それ以外で0となると定義される。これを使うと、3次元空間での単位ベクトル のまわりの角の回転は、

   

と書ける(式(4.8))。eが回転の軸であることを示そう。これには に等しければよい。実際、eは単位ベクトルであるから に気をつけて、
   
である( に注意)。よってeは不変である。ここで、特別な場合、すなわち e=(0,0,1) のときを考えよう。 のあらわす行列をAとすると、
   
       
となり、確かにZ軸まわりの角回転になっている。
 以上は p.103-4 の記述の補足である。p.105 も詳しく計算したが、相当に面倒なので、また今度(があれば)。
 簡単にメモだけ。式(4.11)の定義 より、
   
である。よって、式(4.14a)は、式(4.3)に気をつけて、
   
    
となる( に注意)。また、式(4.14b)は、
   
    
となる。(ただし、
   
    
に注意。(m,k)=(2,3),(3,1)のときは…で略した。)(※ちなみにこの段落は、p.134の練習問題7を解いたことになる。)
 なお、一番上の式(4.8)であるが、
   
     
     
と変形できるので、行列による表現に直すと、

   

のように書くこともできる(式(4.17))。これら式(4.8),(4.17)を、回転のベクトル表現という。それから、式(4.11)で定義されるTを、具体的に書いておこう。これは次のように簡単になる。
   
   
もちろん
   
   
である。