『モーパッサン怪奇傑作集』/『ディケンズ短篇集』

晴。
モーパッサン怪奇傑作集』読了。いわゆる幻想小説集である。モーパッサンはもともと精神の不安定なところがあったようで、最後は精神病院の中で死んでいる。この小説集に描き出されている「恐怖」は、ある程度モーパッサンの実感するところから抽出されたのであろう。少なくとも自分は、モーパッサンの他のどの小説集よりも惹きつけられて読んだ。元来リアリスティックな描写をする作家であるから、幻想が却ってくっきりと浮かび上がってくることになっている。

モーパッサン怪奇傑作集 (福武文庫)

モーパッサン怪奇傑作集 (福武文庫)

ディケンズ短篇集』読了。偶然だが、上のモーパッサンに劣らず、このディケンズの短編も陰鬱なものばかりだ。彼の長編からすると、まったく意外である。もちろん編者がそういう風に選んだのではあるが、救われない、暗い短編がこれほどあるとは。それに、長編は読みやすくてどんどん進められるのに、ここでは注意して読まないと筋が辿れないようなものも多い。それだけ緊張度が大きくなっているわけである。大作家の精神の振幅の大きさには、改めて驚かされる。
モーツァルトのミサ曲ハ短調K.427より「キリエ」。自分はバーンスタインはさほど評価しないのだが、こういう曲をやらせると、さすがにスケールの大きい音楽作りをする。美しさでも、響きはいつも通り「お団子状態」ではあるけれど、他にアップロードされているものと比べると、格段の違いを見せている。やはり「巨匠」だな。