矢作俊彦『夏のエンジン』/福田和也『アイポッドの後で、叙情詩を作ることは野蛮である。』

晴のち曇。
皮膚科。カルコス。
矢作俊彦『夏のエンジン』読了。題名が魅力的だ。ちょっと、稲垣潤一の「夏のクラクション」が思い出されなくもない。まあ、オートマの(最初期型)デミオに乗っているような自分には、とても眩しいような短編集だが。切り詰めた文章も、抑制の効いた描写も格好いい。でも、単にクールだとは言えない。抑えられてはいるが、深い情感に満ちている。特に、「冬のモータープール」にはやられた。これを読んで、自分のしてきた恋の終わりが身につまされないやつって、いるのだろうか。

夏のエンジン (文春文庫)

夏のエンジン (文春文庫)

福田和也アイポッドの後で、叙情詩を作ることは野蛮である。』読了。今どき、読み始めたらやめられないというような本は、滅多にない。福田和也はしょうもない本もいっぱい書いているが、気合の入ったときは、天才的に素晴しい。まことに豪奢だ。読んでいると、自分の貧しさがよくわかるが、悪い気持ちではない。貧しいほうが当り前の御時世なのだ。ということである。
アイポッドの後で、叙情詩を作ることは野蛮である。

アイポッドの後で、叙情詩を作ることは野蛮である。


現代において、我々の精神が高く飛翔することを、構造的に妨げるもの。「経済認識論」とでもいったものの必要性。