澁澤龍彦 西欧芸術論集成(下)/井筒俊彦『読むと書く』

晴。
澁澤龍彦 西欧芸術論集成(下)』読了。澁澤は既に時代遅れだとか、乗り越えられたとかいう人もいるようだが、とんでもない話である。そういう浅はかなことをいう奴は、碌な文章が書けないに決っている。例えば本書の、「悪魔のエロトギア 西欧美術史の背景」を読んでみるがいい。西欧美術史に関して、これほど的確な文章を書ける人間が、今の日本のどこにいるか。我々は、自分たちの想像力の貧しさを、どれだけ痛感しても足りないほどである。

井筒俊彦『読むと書く』読了。単行本、著作集に未収録の文章を集めた一冊である。井筒は二百年後くらいに、世界的に見て、二十世紀最大の思想家の一人として認められるに違いない。それくらいの存在である。自分のように語学に冥い人間には、できれば、(至難の業だろうが)欧文著作の邦訳が是非とも欲しい。それにしても本書は、井筒の意外な面がいろいろ見られて面白かった。中沢新一にも早くから注目していたのだな。
読むと書く―井筒俊彦エッセイ集

読むと書く―井筒俊彦エッセイ集


ジュリアードSQの演奏で、ラズモフスキー第一番を聴く。終楽章は、思わず足でリズムをとりたくなる恰好よさだ。夜更し。