開高健『饒舌の思想』

雪。
開高健『饒舌の思想』読了。一時期、本屋で開高の本を見かけなくなっていたが、最近また、少しずつ文庫化されるようになってきたようで、嬉しい。自分には開高は大切な作家で、学生の頃に文庫本でほとんどの作品を読んだのだが(50冊くらいか)、本書は初めて読む。開高は同じエピソードを何度も書く作家なので、まったく知らないという話は少なかったが、それでも楽しく、また真剣に読まされた。本物の作家だという感は、今でも少しも揺るがない。
 思えば、十九か二十のとき、町の小さな本屋で『白いページ』を手に取ったのが始まりだった。開高風に云うと、「活字が立ちあがってくる」という鮮烈な体験が、忘れられない。

饒舌の思想 (ちくま文庫)

饒舌の思想 (ちくま文庫)