訳文が気持ち悪くて読めない

古典中の古典である、カエサルの『ガリア戦記』の平凡社ライブラリー版新訳(isbn:9784582766646)を読んで寝ようと思い、読み始めたのだけれども……感覚的な話で申し訳ないようなものだが、訳文が気持ち悪くて読めない。確かに日本語の句読点の切り方は、個人の確立すべき芸のようなもので、まったく非論理的な仕方でするしかないから、はっきりと論証できるものではないが、それにしても、ここまで酷いのは少ないだろう。編集者は変に思わなかったのだろうか。とにかく第一巻は読んでみようとはしたのだが、内容はまったく頭に入ってこないし、四〇頁が限界だった。比較のために岩波文庫の近山金次訳(isbn:400334071X)を開いてみると、これも前は無味乾燥な訳のように思っていたが、新訳と比べると一抹の涼風に遇ったかのようであった。中身もすらすらと分る。一般的に、大抵は新訳の方に良いものが多いのだが。