こともなし

晴。
 
Bavarian Radio Symphony Orchestra | Carnegie Hall Live | WQXR
マーラー交響曲第六番で、指揮はサイモン・ラトルバイエルン放送交響楽団。2024.5.2 のカーネギーホールにおける演奏会の配信(この曲は配信の後半)。わたしのベストはスケルツォ、ラトル、気合が入っていた。しかし、さすがのラトルでも、長々しくも凡庸な終楽章は退屈を感じないではいられない。マーラー交響曲第六番は大好きなんだが、いかにも長すぎる。
 聴いていて、(この曲のように)すごいけれど昔の音楽を聴くか、退屈あるいは下らなくても、現代の音楽を聴くか、とか、どうでもいいことを考えたりする。まあ、何も聴かないのがいちばんなのだろうが。
 
昼。
NML で音楽を聴く。■武満徹の「雨の呪文」「海へ III」「ヴォイス」「マスク」「そして、それが風であることを知った」「エア」で、フルートはアレクサンドラ・ヤノフスカ=トカチ、ウルシュラ・ヤニク=リピンスカ、ハープはアレクサンドラ・メイスネル、クラリネットはアダム・エリャシンスキ、ピアノはウカシュ・フジェンシュチク、ヴィブラフォンはタマラ・クルキエヴィチ、他(NML)。アルバム全体を聴いた。
 何も聴きたくないとき、武満さんだけ聴ける。現代日本の文化的虚無の中で、コンテンツ消費にまどろんでいるわたしを、武満さんは引き裂き、こんなことでよいのかと目を覚まさせてくれる。武満徹、二十五世紀後の音楽だ。
 わたしは別に、武満さんの音楽がよくわかるというわけではない。しかし、風が吹き抜けていったり、水が流れていったりするのを、理解するということがあるだろうか。なんていってみる。

 
 
イオンモール各務原へ老母を連れていく。居間に置くアナログ時計を購入。安物ばかりで、あまりいいのがなかったが。
ついでに、老母に(いちおう)誕生日プレゼントとして、財布を買ってもらう。これまでのはもう長いこと使っていて、だいぶ傷んでいた。
 
老母とわかれて、3Fフードコートのミスド。エンゼルクリーム+ブレンドコーヒー462円。
 ちくま学芸文庫種村季弘コレクション(2024)を読み始める。真に無用な読書で、こういうのは精神衛生上、よいのだ。以前読んだ文章もあって、ドイツのペテン師「ケペニックの大尉」についての小文は、よく覚えていた。痛快な話である。
 あと、種村さんのデカルト論がじつにおもしろかった。これも以前読んだかも知れない。というのも、デカルトが「驚異の学問 scientia mirabilis」を発見した記念すべき夜の、不思議な三つの夢について、かつてどこかで読んだ覚えがあるからだ。この夢は本当におもしろい。デカルトヴァレリーの考えるような「歩める定理」の如き明晰判明な知性どころか、魔術師のひとりといっていいような「知」の持ち主であったことは林達夫もつとに指摘しているが、この三つの夢はまさに、デカルトの「学問」が精神の混沌・危機の中で構想されたことを暗に物語っているからである。まあ、ここでこれ以上は(めんどうくさいので)詳述しない、種村さんの「少女人形フランシーヌ」なる小文に是非目を通して頂きたいと思う。
 
外へ出ると、光の按配のせいだろう、世界がすみずみまで完璧に美しい。カメラはもっていたが、とても撮る気はしなかった。種村さんを注入したせいも、あるかも知れないが。
 帰りに肉屋。いわれていた豚しょうが焼き肉がなかったので、ロース肉(計4パック)で代用する。あと、豚かたまり肉。
 

 
夜。
かつて日本企業であったシャープが、テレビ用液晶の生産を終了し、国内での生産がなくなるというニュースを偶々見た。我が家のテレビも、昔の「亀山ブランド」である。
 つい、気の迷いで、どうでもいいことに「有機EL 日本」とかで検索してみた。有機EL はまさに日本で開発し育てた技術だが、日本企業はすべて撤退し、韓国と中国がシェアを分けている。半導体の敗北と同じ、迅速で大規模な投資ができなかったのが原因といわれるのだが、まあ、そんなことわたしが知ってもね…。
 日本企業は、現在の超高速グローバル資本主義には、向いていないのだろうな。ま、過去の観光資産はまだあるのだから、観光立国でいいじゃないか、とか、ほんとどうでもいいけれど…。
 しかし、皆んな死ぬほど労働しているのに、なぜこんなに日本経済は悪くなったんだろうな。で、いじわるでギスギスした雰囲気が、日本語のインターネット中に瀰漫している。なんか知らんけど。
 
 
『彼女がフラグをおられたら』(2014)第8話まで観る。オレ、何よろこんで観てんだろうな。めちゃくちゃなストーリー展開で、わけがわからない三流アニメなんだが。いちおうハーレムアニメの体裁だが、とにかくヘン。女の子たちが皆んな譲り合っている、というか仲がいい。で、颯太が最初に会った菜波だけちょっと特別で、一切フラグが立たない。彼女がどうなるか気になるのもあって、観ている。
 OP、ED もつい観てしまう。OP曲はアニソンとしてめずらしい感じ。