高橋龍太郎『現代美術コレクター』

曇。
音楽を聴く。■バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第一番 BWV1001 (シュロモ・ミンツ)。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ(全曲)

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ(全曲)

  • アーティスト: ミンツ(シュロモ),バッハ
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2000/12/20
  • メディア: CD
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スカルラッティソナタ K.113、K.114、K.115、K.116、K.117 (スコット・ロス参照)。■バルトーク:ヴァイオリン・ソナタ第二番 Sz76 (ルノー・カピュソン、カティア・ブニアティシヴィリ参照)。バルトークすばらしい。天才的。演奏もいい。■ボロディン交響曲第二番ロ短調 (ジャン・マルティノン、参照)。ボロディンおもしろいなあ。ボロディンの限界点までいくのはそう簡単じゃないと思いますよ。■ニーチェ:Einleitung(導入曲), Ermanarich. Symphonische Dichtung(交響的詩曲), Das zerbrochene Ringlein, Im Mondschein auf der Puszta. (ミヒャエル・クリュッカー)。あのフリードリヒ・ニーチェのピアノ作品集。まだ最初の四曲しか聴いていないが、なかなかおもしろかった。一聴してまず感じるのは、シューマンの亜流であるということである。特に形式感が弱く、インスピレーションのみに頼っていて、なかなか聴き応えのある曲というところまで至っていない。しかし、ニーチェの散文の特徴である澄明感はここにもよく感じ取られ、ニーチェに興味がある方は聴いてみるとおもしろいであろう。嫌な感じのしない、きれいな曲たちである。残りも聴くのが楽しみだ。
Complete Solo Piano Works (Hybr)

Complete Solo Piano Works (Hybr)

考えてみると、ニーチェの著作も基本的に断片集であり、構築感のあるものはほとんどない。「ツァラトゥストラ」はかなりまとまっているが、しかしそれでもがっちりとした構築物ではない。それはニーチェの特徴なのかも。

久しぶりにカルコス。何だかあまり買えなかった。
図書館から借りてきた、高橋龍太郎『現代美術コレクター』読了。著者は精神科医であり、現代日本アートの有名なコレクターでもあるそうだ。なるほど、おもしろかったし、口絵の作品たちの画像も確かになかなかいいものだ。しかし、地方在住の貧乏人には、正直言って縁遠い世界でもある。そもそもアートコレクションとは、貧乏人とは交わるところが少ない世界である。そして、本書の殆どは東京の話であり、また世界の話だ。自分は、そういう領域に追従するような気も財力もない。何でも、現代アートの世界として日本は既に中国や韓国に遥かに追い抜かれているそうだ。著者の言うところでは、「現代アートの舞台はなんであれ、国と都市の威信をかけた闘いになっている」そうである(p.158)。気持ちはわかるが、本当に自分とはあまり関係のない世界だ。自分としては、田舎で貧しく地道に、自分の世界でやっていくしかない。まあお金持ちのナショナリストは、著者の推奨する世界で遊んでみるのもよいだろう。頑張っていただきたい。「資産家として、まず百億(引用者注:円)を目安にコレクションをし始めるというのは、充分ありえるだろう。」(p.124)しかしまあ、現代日本アートというものの生態系はよくわかる本だ…。